- 集合住宅のプロパンガス料金は基本的に高くなりがちである
- 集合住宅の入居者はプロパンガス会社の変更はできない
- ガス会社を変更するには大家さんの許可を得なければいけない
「引っ越した先のマンション(アパート)のガス料金が高い!」と感じたことはありませんか?
普段使用しているガスにはプロパンガスと都市ガスの2種類があり、ガスの種類が異なれば使用するガス機器や料金も変わってきます。
アパートやマンションなどの集合住宅でプロパンガスが使われている場合、ガス料金が一般的な戸建て住宅の料金に比べて20~30%も高い傾向にあります。
そこで今回は、集合住宅におけるプロパンガス料金が高い理由と少しでもガス料金を安くする方法について説明します。
すでにプロパンガスが使われている物件にお住まいの方や、これから賃貸物件を探し始める方はぜひ参考にしてください。
目次
プロパンガスと都市ガスの違い
まずはプロパンガスと都市ガスそれぞれについて、賃貸アパートやマンションにおける知っておきたい違いを紹介します。
プロパンガスはどこでも使える
都市ガスは人口が集中している都市部に限定されているのに対し、プロパンガスは全国どこでも使うことができます。
これはガスの供給方法が関係しており、都市ガスは地下に設置されたガス配管を通してガスを供給しているのに対し、プロパンガスはガス会社の供給エリア内であればガスボンベを設置するだけでガスの利用が可能です。
またプロパンガス会社は、全国に約2万社ほど存在しているため、全国どこでも使うことができます。
災害時はプロパンガスが役立つ
万が一地震などの災害が起きた場合、復旧が早いのはプロパンガスです。
プロパンガスはガス供給の仕組みが簡易的であり、ガスボンベがあればすぐに使うことができます。
一方で都市ガスは地下の配管から供給する設備まで構造が複雑であり、復旧には大規模な工事を必要とするため、災害時の即時復旧はほぼ困難です。
比較的災害が多い日本ではプロパンガスはとても貴重な存在なのです。
集合住宅のプロパンガス料金が高くなってしまう3つの理由
集合住宅におけるプロパンガス料金が高い理由は以下の3つです。
- 集合住宅には大規模な設備が必要なため高額になる
- 各部屋のガス使用量が少ない傾向にあるため基本料金が高い
- プロパンガス会社が自由に料金を決めることができる
それでは詳しく見ていきましょう。
① 集合住宅には大規模な設備が必要なため高額になる
アパートやマンションなどの集合住宅は戸建住宅に比べて大規模なガス供給設備や工事が必要なため、初期費用やメンテナンスにかかる費用が高額になります。
その分かかった費用はしっかりと回収しなければいけませんから、入居者にはガス料金に、かかった費用を分割したものを上乗せして請求します。
厳密には、「ガス料金+経費」を一緒にして金額だけ見せることにより、ガス料金が高いだけであると認識させています。
なぜ、家賃ではなくガス料金に上乗せするのでしょうか?
これにはプロパンガス業界独特の契約方法である「無償貸与契約」が関係します。
例えるなら、携帯電話会社との機種代金2年縛りに似たようなもので、初期にかかるガス供給設備やガスコンロなどのガス機器すべての費用をプロパンガス会社が一時的に立て替え、契約期間中にガス料金と一緒に毎月分割して支払うような契約です。
つまり、途中でガス会社を解約すると、残債分を一括で支払わなければいけないことになるのです。
本来、初期費用として支払う分の費用が浮くため、その他のことにお金を使えるメリットが集合住宅の大家さんにはありますが、入居者からすれば負担が増えるのみとなってしまいます。
② 各部屋のガス使用量が少ない傾向にあるため基本料金が高い
集合住宅の入居者は一人暮らしが多くガスをあまり使用しないため、プロパンガス会社は基本料金を割高に設定します。
プロパンガス料金は、原則的に基本料金という固定料金に、従量料金というガスの使用量に応じた料金が加算される仕組みとなっています。
【請求額=基本料金+従量料金(ガス使用量×従量単価)】
そのため、最も売上を立てられる部分である従量料金が少なくなってしまう集合住宅では、基本料金そのものを高く設定することにより、安定した利益を確保しようとするのです。
これが集合住宅におけるプロパンガス料金が割高になってしまう要因の1つです。
③ プロパンガス会社が自由に料金を決めることができる
プロパンガス料金は「自由料金制」と言って、適正価格のようなものは存在せず、各プロパンガス会社が独自で料金を決めることができてしまいます。
これが不当な値上げや高い料金設定によりプロパンガス料金が高くなってしまう理由の本質です。
つまり、先ほどまで述べてきた内容もこの「自由料金制」が根底にあることにより、ガス会社が設定した料金を支払わなければいけません。
ただし、各プロパンガス会社の裁量によってガス料金が決定するため、交渉による値下げなどの余地はあります。
集合住宅でプロパンガス会社の変更ができるのは誰?
賃貸住宅にお住まいの方は、その建物の大家様の許可があれば安いプロパンガス会社に変更することができます。
なぜなら大家様=プロパンガスの契約者だからです。
集合住宅の場合は、基本的に全室一括変更となるため、自分の部屋だけの切り替えはできません。
例えば、10部屋のアパートの1室にお住まいの方が、安いプロパンガス会社に変更しようとした場合は、大家さんにその旨をお話ください。
「切り替えに際し、各種手配などの面倒な手続きなどは一切なく、すべてまちガスにお任せいただければOK」とお伝え下さい。
その後はすべてまちガスが責任をもって対応します。
逆に言うと、大家さんに安いプロパンガス会社に切り替えられる事を理解していただければ、その集合住宅にお住まいの方全員のガス料金が安くなり、入居率および更新率の向上という、大家様と居住者様双方の利益になるのです。
同様に、賃貸の戸建住宅にお住まいの方がプロパンガス会社を変更する場合も、その戸建住宅のオーナー様の許可を得てください。
あくまでもプロパンガスの切り替えに関しては、ガス会社と契約するのは居住者様ではなく、オーナー様です。
賃貸住宅の居住者様が大家様の許可を得ずに、まちガスにお問い合わせいただいても、切り替えはできませんのでご注意ください。
つまり、居住者様がガス会社の変更を希望する場合、必ず大家様(オーナー様)の理解と許可が必要になります。
賃貸住宅にお住まいの方は、大家様に安いプロパンガス会社に変更するメリット、
- 入居率アップ
- 更新率アップ
- 物件価値アップ
といったメリットをお話頂くと、よりスムーズに切り替えができます。
もちろん、居住者様のガス料金が安くなるのは言うまでもありません。
集合住宅の入居者ができる節約方法
ここからは集合住宅でもできるガス代節約方法について紹介していきます。
契約しているガス会社へ値下げ交渉をする
先ほども伝えたとおりプロパンガス料金は自由料金制のため、ガス会社が自由に料金を決めることができる=交渉次第では値下げの余地があるということになります。
値下げが必ず成功するとは限りませんが、交渉次第ではガス料金を下げることができるため、トライしてみても良いかもしれません。
その際は、ただ連絡してお願いするのではなく、近隣のプロパンガスの相場価格や競合となるガス会社の料金体系を事前にリサーチして準備しておきましょう。
少しでも交渉材料を用意しておくことで有利に進めることができます。
シャワーの使い方を工夫する
お風呂で使うシャワーヘッドを節水のものに取り替えたり、シャワーの時間をできるだけ短く済ませましょう。
節水用のシャワーヘッドに交換するだけで、普段使用する水の量を40~50%減らすことができると言われており、それに合わせてシャワーの時間を1分でも減らすことを意識すれば、かなりのガス料金節約に繋がります。
生活の中で最もガスを使う場所はお風呂で、水をお湯にするため、つまり給湯器にガスが使われます。
このとき、お湯にする水の量を減らせば使用するガスもそれに合わせて減少します。
例として、プロパンガスで給湯器を使用した場合、一人暮らしにおいて1ヶ月でどれほどのガス料金になるか見てみましょう。
ここではシャワーのみを使用するものとします。
プロパンガスの給湯器としてエコジョーズを使用します。
まずは、1ヶ月で使用する水の量を計算します。
シャワーの場合、一人あたり5分ほど利用した際の水の量は50L前後です。
毎日使用すると、1ヶ月では以下の水の量になります。
50L × 30日=1500L/月
シャワーのみで1ヶ月に合計1500Lの水の量が必要です。
次に、お湯を沸かすためにどれほどのガスを使用するか計算します。
水温を15℃から40℃まで上げる前提で計算すると、1500Lの水をお湯にするのに必要な熱量は以下になります。
1500L×(40℃-15℃)×1kcal=37,500kcal
*1Lの水を1℃上げるために必要な熱量は1kcal
プロパンガスの熱量は24,000kcal/㎥なので、1500Lの水を沸かすために必要なプロパンガスの量は以下のようになります。
37,500kcal ÷ 24,000=1.5625㎥
1ヶ月あたり、毎日シャワーを使用すると約1.6㎥のプロパンガスを使用します。
エコジョーズを使用すると、エネルギー変換効率が95%になるため
1.6㎥ ÷ 95% = 1.68421… ≒ 1.68㎥
1ヶ月の給湯器を使ったプロパンガス使用量は1.7㎥となります。
プロパンガスの従量単価を500円/㎥とすると、
1.7㎥ × 500円 = 850円
給湯器を使用してシャワーを利用すると、1ヶ月あたり約850円となります。
もし節水効果40%の節水シャワーヘッドに取り替え、シャワー時間を1分減らすと、1ヶ月あたりのプロパンガス料金は約395円となり、1ヶ月あたり455円、年間にして5,460円も節約することができます。
節水シャワーヘッドは安いもので2,000円~あるので、年中通して使用すれば元を取ることができます。
ただし、プロパンガスの場合は上記の使用量に応じた料金に加え、基本料金がかかります。
また、季節や地域、ご家庭状況、ガス販売店により料金は変動するので、あくまでも目安として参考にしてください。
給湯器の温度を低く設定しましょう
上述した内容に加えて、お湯を使用する際の温度設定を低くするだけでもガス代の節約に繋がります。
先ほどのシャワーの例を取り上げると、設定する温度を2℃でも低くすることで、1ヶ月のプロパンガス料金を約90円も節約することができます。
使用する水の量も温度も減らすことで、本来の半分以下の料金になることも期待できるのです。
アパート・マンションでプロパンガスを切り替えるコツ
上述の通り、アパートやマンションといった集合住宅でのプロパンガス切り替えには、自分一人ではできません。
しかし、せっかく引っ越したのにプロパンガス料金が高いのではどうしようもありません。
そこで大家さんや管理会社、不動産オーナーさんへプロパンガス切替を相談する際のポイントを説明します。
プロパンガスの適正料金や相場を知る
まずは住んでいるエリアのプロパンガス料金の相場を調べましょう。
そして、相場にあった適正料金で取引をしているプロパンガス会社を事前に調べましょう。
お住まいのエリアのプロパンガス料金の相場は石油情報センターで確認することができます。
プロパンガス会社のお探しはまちガスへお任せください。
こうした情報があれば十分に説得力があります。
参考 石油情報センター「LP(プロパン)ガス:地域の価格検索」
思いをしっかり伝える
大家さんや管理会社へは強気でガス会社の変更を伝えましょう。
ガス料金は入居者が負担するものなので、大家さんにとっては関係のないものです。
しかし、大家さんと管理会社にとっては入居者が退去してしまうことが一番のダメージです。
「ガス代金が高いので引っ越しを検討している」と強気で伝えてみましょう。
入居率の低下が売上に直結するため、大家さんや管理会社は退去しないように動きます。
入居者全員で力を合わせる
入居者が一人で強気に伝えても、動いてくれないこともあります。
その場合は、少し手間はかかりますが、入居者全員へ署名を取り提出しましょう。
複数の入居者からの変更の打診があれば、大家さんや管理会社は無視することが難しくなります。
ガス会社変更は負担や手間はかからない
大家さんや管理会社がガス会社変更へ動いてくれるようであれば、負担や手間はかからない点を伝えましょう。
いざ変更するとなっても、業務が増えてしまうようであれば引き下がってしまうものです。
まちガスを利用すれば、優良なプロパンガス会社の紹介から変更手続きまでを一貫して行うことができるので、大家さんや管理会社に手間がかかることはありません。
もちろんご相談は無料ですので、まずは「プロパンガス会社の変更をしたい」と伝えてください。
まちガスのスタッフが丁寧にご案内します。
まとめ
これまでは慣習的にプロパンガス会社をなんとなく選んでいた(むしろ、選べることさえ知らなかった)方にとって、ガス会社を選べるという事実は非常に驚きかもしれません。
しかし、プロパンガスは昔からずっと自由料金であり、お客様自身で自由に選べるのです。
賃貸住宅にお住まいの方でもガス会社の変更は可能です。
賃貸住宅の居住者にとっても、大家様とっても、安いガス会社への切り替えはメリットが多く、すぐにでも検討するべきです。
まちガスはこれまでのプロパンガス業界の悪しき習慣を改善するべきだと考えています。
お客様の利益に叶うよう、誠心誠意お手伝いせていただきます。