- 一般家庭にガスボンベを設置して供給する方式は個別プロパンと言います
- プロパンガスを一箇所にまとめて貯蔵と利用を行うのが集中プロパンです
- 大型の建物は集中プロパンにすると管理が容易になりガス代もトータルでお得になる
プロパンガス(LPガス)と都市ガスでは供給方法による違いがあります。
しかし、プロパンガスの中であっても供給方法に違いがあります。
プロパンガスの供給方法には個別プロパンと集中プロパンの2種類が存在します。
今日は集中プロパンと個別プロパンについて解説します。
目次
個別プロパン

個別プロパンとは、ガスボンベを各ご家庭へ設置して供給する方法のことです。
設置されたガスメーターによって、毎月のガスの使用量を計測しています。
1つのガスボンベから1つの建物や供給場所にガスを個別に供給するため、「個別供給システム」と呼ばれています。
「個別供給システム」は一般家庭のような比較的ガスの利用が少ないガス需要家へガスを供給するために採用されています。
このシステムは一般家庭にとって最も馴染みのあるシステムです。
集中プロパン

一方で、プロパンガスを一ヶ所にまとめて貯蔵し、利用まで行うシステムを「集中プロパン(集中供給方式)」と言います。
住宅街などのまとまった戸建住宅のあつまりや集合住宅、工場などへガスを供給する際に採用されます。
個別プロパンとの違いは、供給方法が異なるのみで中身のプロパンガス自体は変わりません。
個別プロパンのように、個々にプロパンガス(ボンベ)を設置するとプロパンガス料金が高くなる傾向にあることから、集中プロパンにすることで一括で管理できるため料金を抑えることができます。
そのため、マンションやアパートの入居者にとってガス代が比較的安くなり、オーナーや大家さんにとっては入居率が上がるなどのそれぞれのメリットがあります。
小口のガス利用者へ供給する個別プロパンとは違い、「導管供給システム」によりプロパンガスが供給されます。
導管供給システムとは、導管を通ってガスが供給される仕組みで、都市ガスと似たようなガス供給方法です。
地下にあるガス導管を通ってプロパンガスが供給されます。
導管供給システムには、小規模導管供給と簡易ガス供給の2種類があり、この2つは法律で区別されています。
また、バルク供給と呼ばれる上記の2つとは異なる方式もあるので、そちらもご紹介します。
小規模導管供給
比較的小規模の集合住宅やマンション、団地などに供給するシステムです。
建物内の部屋数が70戸未満の場合はこの供給方法が採用され、「液化石油ガス法」が適用されます。
液化石油ガス法
・「液化石油ガス法」は、正式名称を「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」といい、液化石油ガスによる災害の防止や液化石油ガスの取引を適正にすることを目的として、液化石油ガスの販売などを規制しています。
・液化石油ガス(LPガス)は、主として産業用に使用される場合には「高圧ガス保安法 」、主として一般家庭で使用される場合においては「液化石油ガス法」の規制を受けます。
簡易ガス供給
建物内の部屋数が70戸以上の大規模の施設の場合は簡易ガス供給が採用されます。
建物の近くにガスを発生させる設備を設置してプロパンガスを供給します。
ガス発生設備とはプロパンガスボンベと気化装置から成るものです。
バルク供給

バルク供給は、工場や鉄工所など、比較的大規模な事業者向けにガスを供給する際に使用する供給方法です。
小規模導管供給や簡易ガス供給よりも大規模な供給を必要とする際に採用されます。
大型のタンクのような貯蔵容器にプロパンガスを充填し、貯蔵容器を工場などの大規模な施設に設置しガスを供給します。
バルクには大口の、ひとかたまりの、といった意味があり、導管を通ってまとめてプロパンガスを各需要家へ供給することができます。
最近では、「新バルク供給システム」と呼ばれる供給方法により、小口の一般家庭への供給も可能になりました。
新バルク供給システムはガスボンベを各家庭ごとに設置する必要がなく、一括でプロパンガスの管理ができるため、非常に便利なものです。
バルク貯蔵をする容器は地下にも設置することができるので、比較的小規模の施設の場合は、より多くのスペースを確保することが可能です。
また、バルク供給システムは貯蔵する機能が優れていることから、災害時への備えとして導入する自治体や会社が増えています。
特に高齢者が多い地方や災害時の避難所としての役割を果たす場所などで積極的に導入されています。
集中プロパンの特徴
集中プロパンにはどのような特徴があるのでしょうか。
安定供給ができる
集中プロパンはバルク供給システムにより、各ガス需要家へ安定して供給することができます。
設備自体もそれほど大きなものではないので、中小規模の建物へ新たに設備導入がしやすいこともメリットです。
安全である
集中管理システムで管理されているので、万が一災害が起きたり、ガス漏れが発生したりした場合は、直ぐに対応ができるため、安全性に優れています。
地震感知やガス漏れの感知も一括で管理できるようになっています。
コストを抑えることができる
ガスを発生装置などの設備を導入するため、初期投資は必要ですが、毎月のコストを抑えることができます。
各家庭にバルク供給をする際は、通常のガスボンベの配送・設置に比べて人件費がかからないため、その分のコストを抑えることができます。
最近では、バルク供給システムを設置するにあたり、導入補助金制度を設けている団体もあります。
そういったものも活用することで、設備導入のハードルを下げることが出来ます。
まとめ
いかがでしたか?
集中プロパンと個別プロパンに関してお話しました。
一般的なガスボンベを配送して設置するのを個別プロパン、一箇所に集中してプロパンガスを貯蔵管理するのを集中プロパンと言います。
集中プロパンには安定、安全、コスト削減のメリットがあります。