- ガスコンロやガスメーターはより安全になっている
- 地震が起きた時は火元の前にまず身の安全を確保する
- 地震の後にガスメーターの復旧が必要な場合もある
地震大国である日本では、毎年多くの地震が発生しています。
もしもガスを使っている最中に地震が発生したらどうしたらいいのでしょうか?
実はプロパンガスは「地震に強いエネルギー」なのです。
今回は、プロパンガスを使用している最中に地震が起きた場合にするべきことと、プロパンガスが地震に強いと言われる理由について説明していきます。
目次
地震と火災の関係
日本は地震大国だと言われます。
実は日本ではマグニチュード6.0以上の地震が年間で16回程度毎年のように発生しており、全世界の20%が日本周辺で発生しているのです。
例えば1923年の関東大震災が発生した時間はちょうど正午近くで、火を扱う人が多かったため、火災が各地で発生しました。
特に当時はまだガスコンロも普及しておらず、かまどや七輪などで火を起こしていたこと、とても強い風が吹いていたことなどが原因となり大きな被害をもたらしました。
その火災の犠牲者は、10万人近かったとも言われています。
そのような経緯もあり、日本では地震が起きた時はすぐに火を消すように言われてきました。
しかし、起震車などで揺れを体験してみると分かりますが、震度6などの強い揺れの中ではとても火を消しに行けるような状況ではありません。
むしろ、地震発生中に無理して火を消しに行こうとして、落ちてきたヤカンで大やけどを負ったという事例も報告されています。
2007年7月の新潟県中越沖地震でも負傷者のうち、やけどした人は揚げ物調理中に揺れで熱い油を浴びるなど、地震発生中に火の側にいたり、火を消そうとして負傷したといわれています。
ガスコンロはより安全になっている
このような地震と火災との歴史があり、より安全に使用できるようにプロパンガスやガスコンロは改良されてきました。
特に、2008年からは全てのガスコンロに安全センサーの装着が法令で義務付けられたことは大きな出来事でした。
平成20年10月1日から、ガスコンロが「ガス事業法」及び「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液石法)」の製品指定されました。
(中略)
指定対象ガスこんろの製造・輸入事業者は国が定めた安全基準(技術上の技術基準)を満たしPSTGマーク、又はPSLPGマークを表示した上で販売しなければなりません。
この2008年以降、火災防止のため国の基準を満たしたガスコンロが登場し、ガスコンロが原因とする火災の減少に大きく貢献しています。
Siセンサーコンロとは
2008年に登場した法令で義務付けられた安全装置が「Siセンサー」です。
Siセンサーは火災の原因となりやすい消し忘れや加熱しすぎを自動で防いでくれる、安全・安心機能です。
「Siセンサー」の名前の由来は以下の3つの“S”と“Intelligent(インテリジェント)”です。
- Safety(安心):過熱防止や自動消火機能などの安全機能を搭載
- Support(便利):火加減自動調節や自動炊飯機能など便利機能を搭載
- Smile(笑顔):カンタン・便利な最新コンロで料理のバリエーションが広がり料理を楽しく
- Intelligent(賢く):最新式の賢いセンサーで3つのSを約束する
このSiセンサーを搭載したコンロをSiセンサーコンロと呼びます。
このSiセンサーコンロが普及することに伴いガスコンロに起因する火災件数も年々減少傾向にあります。
以前は国内で年間5,000件以上も発生していたガスコンロに起因する火災件数は、Siセンサーの普及率の増加に伴い、2018年には年間約2,500件にまで減少しました。
参考 一般社団法人 日本ガス石油機器工業会 ガスコンロ安心替え
また、Siセンサーコンロには、機種によって地震を感知した場合に自動消火する機能が備わっているものもあります。
このようにガスコンロそのものの安全性能が大きく向上してきており、地震の際のガスのリスクも低くなってきています。
ガスメーター(マイコンメーター)の機能
プロパンガスの供給量を計測する機器であるガスメーターにも地震を感知する機能が備わっています。
設置されたガスボンベからこのガスメーターまでは供給設備と呼ばれ、プロパンガスの販売事業者が取り付けることになっています。
供給設備
LPガス販売店が責任を持って点検と維持管理を行う設備
LPガス容器からガスメーターの出口までは供給設備と呼ばれ、LPガス販売店が、責任を持って点検と維持管理を行います。
このガスメーターのうち、自動遮断機能などが備わったガスメーターのことを「マイコンメーター」と呼びます。
プロパンガス用のマイコンメーターは2002年に99%以上を達成しており、現在もその普及率はほぼ100%となっています。
どんな時に自動遮断機能が作動するのでしょうか?
地震発生時
ガスを使用中に強い地震(震度5相当以上)が起きたとき、自動的にガスを遮断します。
地震で配管の折損やゴム管がはずれるなどして、大量のガスが流出したときにも自動的にガスを遮断します。
長時間の使用又は消し忘れた時
お風呂のつけっ放しなど使用時間が長い場合、自動的にガスを遮断します。
ガス警報器が反応した時
ガス警報器とガスメーターが連動している場合、警報が鳴ったときも地震遮断と同様の状態になります。
配管のガスの圧力が低下した時
ガス配管の圧力が低下したとき自動的にガスを遮断します。
例えば雪下ろしなどで誤ってガスの配管を破損させてしまった場合などでもガスを遮断します。
流量オーバーした時
ガスが不自然に大量に流れると自動的にガスを止めます。
未使用のガス栓が開放されたり、急に多くのガス器具を使用するなど異常に大量のガスが流れたとき、ガスを自動的に遮断します。
電池の電圧が低下した時
電源として用いる電池の電圧が規定値以下に低下した場合に異常と判断し、警告を表示します。
このように、地震発生時にはガスメーターも感知して安全のため自動的にガスの供給を停止し、安全を確保するようになっています。
安全が確保できてガスの使用を再開したい場合は別途復帰作業が必要になります。
プロパンガス使用時に地震が起きた時
実際にガスコンロなど、プロパンガスを使用している時に地震などの自然災害が起きた場合はどうしたら良いのでしょうか。
自然災害が発生した場合は以下の順に行動するようにしましょう。
1 安全の確保を最優先
机の下などに身を隠し、座布団や雑誌などで頭部を保護します。
震度5程度以上の地震発生時には、ガスメーターが自動的にガスを遮断します。
地震で大きく揺れているときは、危ないので、火に近づかないようにしましょう。
まずは身の安全の確保を最優先にしましょう。
2 ガス機器を止める
揺れが収まってからガス機器の火を消して元栓を閉めます。
使用中の電気器具などのスイッチも切りましょう。
もし、家を離れて避難する場合は、ブレーカーも切るようにします。
3 換気扇や電気のスイッチにさわらない
もしガスのにおいがしたら、火をつけたり換気扇や電気のスイッチには絶対に触らないようにします。
換気は必要ですが、換気扇のスイッチを付けた時に引火して爆発する危険性があります。
まずは可能な範囲でガス栓とメーターの元栓を閉め、窓を開けて換気をし、すぐにガス会社へ連絡します。
4 再度ガスを使用する前に確認すること
地震などの自然災害が落ち着いた後にガスを使用する前に、まず次のようなことを確認しましょう。
- ガス機器周囲でガスのにおいがしないか
- ガス機器本体に変形・破損等異常がないか
- 煙突などの屋内外の給排気設備に異常がないか
(外れ・凹み・穴あきがないか、給気口がふさがっていないか目視で確認してください。) - ガス接続具が正しく接続されているか確認する
(接続具に外れがないか目視確認してください。)
もし上記の点検で異常を確認した場合、そのまま使用すると一酸化炭素中毒や火災などの事故が発生する危険性があります。
すぐにガスの販売事業者へ連絡し、点検を依頼しましょう。
また、水害等で機器が浸水した場合も、使用は控えてください。
そして、商品を購入した販売店やメーカー、ガス事業者へ連絡し、点検を依頼しましょう。
参考 東京消防庁 地震その時10のポイント
ガスメーターの復旧方法
大きな地震が発生した時にガスを使用していた場合、ガスメーター(マイコンメーター)が反応してガスが遮断されている状態になっています。
再度使用するにはガスメーターを復帰させる必要があります。
復帰の方法は以下のとおりです。
- 器具栓と使っていないガスの全ての元栓を閉じます
- ガスメーターの左側の復帰ボタンを押します。
- 「ガス止」の文字が消えます。
- 液晶の文字とランプが点滅します。
※ランプが復帰ボタン部にあるものもあります。 - 1分間待ちます。
- 液晶の文字とランプが消えれば復帰完了です。
上記の手順をとることで復帰が完了し、ガスが使用可能になります。
もし使用できない場合は再度すべての作業を繰り返してみてください。
それでも復帰できない場合はガスの販売会社へ連絡しましょう。
どうしてプロパンガスは地震に強いのか
プロパンガスは地震に強いと言われています。
その理由には、以下のような点が挙げられます。
ガスを自動的に遮断する
地震を感知してガスメーターがガスを遮断します。
阪神大震災などの大きな地震の時も、メーターがガスを自動遮断したので、プロパンガスによる火災は発生しなかったと言われています。
復旧が早い
プロパンガスはボンベが各家庭に設置されているので、配管が短く点検が簡単です。
そのため点検もすぐに終わり、点検終了するとすぐガスが使えます。プロパンガスが大きな災害などにより遮断された場合、遅くても2週間ほどで復旧することが出来ます。
仮設住宅への設置が容易にできる
地震発生後の復旧が早いだけでなく、仮設住宅への設置がスピーディーに供給できます。
ガス管を地下に埋める必要もないので、配送ルートさえ確保できればすぐにガスの供給が可能です。
発電機が使える
災害時に利用できるライフラインとして、プロパンガスで使用できる発電機や炊き出しセットなど、災害時用の緊急システムが各地に用意されています。
これらを利用することでいち早く生活基盤を確保することが可能です。
熊本地震のケース
2016年4月14日に熊本で発生した地震は、最大マグニチュードは7.3でした。
これだけ大きい地震は東日本大震災以来で、もちろん都市ガスもプロパンガスも停止。
しかしプロパンガスは翌日には使えるようになり、同時に各地域の安全保全もスピーディーに行うことができたのです。
これに対し、都市ガスが全面復旧したのは4月30日でした。
これを見ると、プロパンガスが復旧するまでの時間がとても早いことがわかります。
都市ガスは地震に弱い
プロパンガスと比較すると都市ガスは地震に弱いと言えます。
都市ガスもプロパンガス同様に
- 各家庭にあるマイコンメーターで地震を感知し遮断する
という機能を備え、供給する配管にも
- ガス管で地震感知を行い遠隔操作で遮断する
などの地震対策設備が備わっているので、プロパンガス同様地震が発生すると、各設備でガスを遮断し、被害を最小限抑えます。
しかし、都市ガスは各家庭にガス管を通して供給するというシステムになっているため、どうしても地震の影響を大きく受けてしまいます。
地震が発生するとガスを供給するガス管に亀裂が入って破損してしまうのです。
その復旧を行う場合は、順次地中にあるガス管をチェックして問題ないところはガス供給を再開、問題のあるガス管は掘り出して、新しいものに交換してから再開となります。
そのため、都市ガスが全面復旧までにはどうしても時間がかかってします。
都市ガスがプロパンガスに比べると地震に弱いと言われる理由がお分かり頂けると思います。
古いガスコンロを使用すること
Siセンサーコンロは2008年から登場し、年々と普及率を高めていますが、まだ2008年以前の自動消火機能の搭載されていないものも使用されている現状があります。
ガスコンロの耐用年数は10年~15年程度と言われており、現状使用されているガスコンロはすでに耐用年数ギリギリか、もう過ぎてしまっているものです。
また、経済産業省所管の独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)は、安全機能の付いていない古いガスコンロにおいて、誤使用による事故が相次いでいるとして、2018年に、正しい取り扱いと新しい製品への買い替えを呼びかけています。
ガスこんろの事故は減少していますが、依然として安全装置の付いていない古いこんろを使用しての事故や誤った使い方による重大な事故が発生しています。
平成24年度から平成28年度の5年間にNITE(ナイト)に通知された製品事故情報の中で、ガスこんろの事故は395件ありました。
このうち、誤使用により発生した事故は213件あり、事故の多くは誤った使い方が原因となっていることがわかります。
特に、使用中にその場を離れたり、汚れを放置することが原因の事故が多く発生しています。
ガスこんろの事故は大規模な火災に発展可能性が高く、周囲に被害が及びます。
事故の事例や事故防止のポイントを確認し、未然に防ぎましょう。
このように、安全装置が付いていない古いコンロが使われていたことが原因となる火災が多く発生しています。
NITEではSiセンサーコンロなどの「安全装置の普及が事故の減少に寄与している」として、2008年以前の古い年式のコンロを使用している場合は新しいコンロへの買い替えを検討するよう呼びかけています。
ガス器具を新しく買い換える場合、プロパンガスの販売会社の見直しと合わせて行うことで販売価格をサービスしてもらえる場合もあります。
検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
いかがでしたか?
今回はガスコンロなどのプロパンガスを使用している際に地震や災害が起きた場合の対処法や、プロパンガスが災害に強いと言われる理由などをご紹介しました。
プロパンガスはガス機器の安全性能が高まることで災害時にも二次災害を起こしにくく、また復帰も速やかに行えることがお分かり頂けたと思います。
古いガス機器を使っていて不安に思われる方やより災害に強いプロパンガスへ乗り換えを考えたいという方はぜひまちガスにご相談ください。
より安全にガスが利用できるようにまちガスが力になります。
気軽にお問い合わせください。