- 床暖房には電気ヒーター式と温水循環式の2つがある
- 床暖房は設置費用とランニングコストがかかる
- 光熱費が最もかかるのは床暖房を稼働させる時
床暖房には電気ヒーター式と温水式の大きく二種類があります。
その中でもそれぞれの熱源ごとで異なる特徴があります。
今日は床暖房の仕組みと利用する際のメリットとデメリットについてご紹介します。
目次
床暖房の種類
床暖房は大きく分けて
- 電気ヒーター式
- 温水式
2の種類があります。
一般的には温水式床暖房のほうが光熱費は安くなるため、「ガス式」や「電気ヒートポンプ式」の温水式床暖房が人気です。
電気ヒーター式床暖房の特徴と種類
電気ヒーター式床暖房の特徴は
- イニシャルコスト(設置費用)の安さ
- 設置の手軽さ
の2つです。
電気ヒーター式床暖房は次の4種類に分けられます。
電気ヒーター式床暖房 | |
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方式・熱源 | 特徴 |
蓄熱式 |
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PTCヒーター式 |
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電熱線ヒーター式 |
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カーボン式(炭素繊維式) |
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蓄熱式の床暖房は光熱費も安くて良いのですが、新築住宅に設置するのが一般的で、リフォームには向かない場合が多いです。
また、設置費用が高くなりやすい傾向もありますので、オール電化の場合は設置を検討してみる余地があります。
そして、蓄熱式床暖房のデメリットは集合住宅では難しいことも挙げられます。
薄いカーボンシートを使うカーボン式(炭素繊維式)は施工しやすい反面、異常発熱などのリスクがあります。
水回りなどに使いにくいため、実際に選ぶ人は少ないです。
温水式床暖房の特徴と種類
温水式床暖房の特徴は
- ランニングコスト(光熱費)の安さ
- 温度ムラがなく均一に温まる
の2つです。
温水式床暖房は次のように分けられます。
温水式床暖房 | |
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方式・熱源 | 特徴 |
エコキュート(多機能型) |
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電気ヒートポンプ式 |
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太陽熱温水器 |
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エコジョーズ |
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ガス給湯器(温水暖房つき) |
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ガスボイラー |
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エコウィル |
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石油(灯油)ボイラー |
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エコジョーズ+ヒートポンプ |
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エコジョーズ+太陽熱 |
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エコワン |
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エコキュートを使う床暖房は給湯と床暖房の両方が使えるため、一石二鳥です。
ただし、エコキュートの給湯能力には限度があり、広い範囲の床暖房が難しいというデメリットもあります。
電気ヒートポンプ式は床暖房用のヒートポンプを使うため、エコキュートよりも広い範囲の床暖房が設置可能になります。
ヒートポンプは空気の熱で温めることができるため、エコ性能が非常に高いことも特徴です。
ただし、給湯器とは別にヒートポンプを設置するため、床暖房を設置する初期費用がかなり高いことが欠点になります。
それでも光熱費が安いので、広範囲で使用する場合は数年でトータルコストが安くなります。
床暖房の初期費用が安いのは、ガスボイラー型の方式です。
エコジョーズや温水暖房つきのガス給湯器であれば、給湯と床暖房の両方が使えますが、床暖房用のガスボイラーを設置するほうが費用は安くなります。
ただし、光熱費がヒートポンプ式よりも高い傾向にあります。
ハイブリッド式の床暖房は、新しいタイプの床暖房です。
これからの床暖房でもあるため、将来を見据えた利用になります。
ただし、ハイブリッド式の床暖房も初期費用が高め。光熱費が安くなるというメリットもありますが、現段階では電気ヒートポンプ式やガス式のほうが人気という側面があります。
ガス温水式床暖房の仕組み
ガス温水式床暖房とは、「ガス温水式」の名の通り、ガスで温めたお湯を床下にあるチューブへ流すことで床を温める仕組みです。
一度チューブを通って流れたお湯は、再度ガス給湯器に戻され、循環するようになっています。
温水式床暖房の仕組み
床下に敷いた温水パネル(マット)に熱源機で作った約40~60℃の低温水を循環させ、お部屋全体を暖めます。
足元から暖まりますので、室温が18~20℃程度でも暖かさを感じることができます。また、床の表面温度は体温よりも低い約30℃程度なため室温が暖まりすぎず体に優しく快適な暖房です。
また、床が温められることにより、ふく射熱や対流熱が発生し、空気中も暖かくなります。
足元から天井に向かって温まるため、頭がボーっとせずに生活することが出来ます。
足元が暖かい暖房へ
床面が一番暖かく、天井に向かって均一にお部屋を暖める床暖房は、まさに「頭寒足熱」。頭がボーっとしないので、勉強や読書にぴったりの暖房です。
出典:2013年「天井輻射暖房の温熱環境と室内投入熱量の評価 」より
試験条件:木造6畳1室,温水マット敷設率84.5%,室内作用温度22℃,外気温5.0℃,湿度40%Rh,隣室温度18℃,断熱性能3.3W/m2℃,1時間順応後の被験者を計測。
※温まりの程度には個人差があります。出展:【アンケートおよびユーザーの声の対象者:「ガス温水床暖房」が設置されている1都3県の新築分譲マンションを購入し、2013~2016年に入居した人】
設置方法
設置方法は以下の2通りがあります。
- 床を剥がして床下へチューブを設置
- 床の上に配管し、マットとフローリングを貼る
既存の床を剥がして配管・設置する方法と、既存の床の上に直接配管し温水マットとフローリングを敷き詰め・貼る方法があります。
ガス温水式床暖房のメリット
ガス温水式の床暖房のメリットはすぐに温まることとムラなく温めることが出来るなど次の5つです。
ガス温水式のメリット1. すぐに温まる
温めたお湯をチューブへ流すことですぐに温めることができます。
床暖房には電気式のものもありますが、それに比べて1/3ほどの短い時間で床が温まります。
6畳ほどの広さであれば50分ほどで全体が温まります。
ガス温水式のメリット2. 安定したムラのない温度
お湯によって温められるため、床全体がムラ無く温まります。
また、一度温められたお湯が循環して利用されるので、一定の適度な温度が保たれます。
床暖房の上に長時間寝ていても、火傷の心配はありません。
ガス温水式のメリット3. 空気をクリーンに保つ
ガス温水式床暖房は、室内に燃焼させるものがないので空気が汚れる心配がありません。
また、燃焼機器によるヤケドなどの事故も防ぐことができます。
小さなお子様がいるご家庭では安心です。
ガス温水式のメリット4. 部屋が乾燥しにくい
暖房を使っていると、肌が乾燥したり、温風が直接肌に当たることが気になる方もいると思います。
床暖房の場合は、暖房に比べ大きな気流が作られないので、皮膚からの水分をあまり奪いません。
そのため、肌やのどにもやさしいです。
それにより加湿器を設置する必要がありません。
ガス温水式のメリット5.部屋が広く使える
床暖房は暖房器具が部屋の中に設置されているわけではないので、場所を取りません。
そのため、お部屋を広く使うことができ、暖房器具を出し入れする手間がかかりません。
また、暖房器具のフィルター掃除などの日々の手間もかからないので、掃除も楽になります。
小さなお子様が暖房器具に触ることによる火傷を防ぐことができるので、安心して使えます。
ガス温水式床暖房のデメリット
ガス温水式のデメリットはガス代が高くなりやすいことや初期費用が高くなるなど、次の3つです。
ガス温水式床暖房のデメリット1. 床暖房を作動させるのにガス代がかかる
ガス温水式床暖房は、温めたお湯を流して床を暖めるため、作動からお湯にするまでにガス代がかかります。
しかし、一度お湯にしてしまえば、循環で利用できるので継続利用でのガス代は作動時に比べ1/3ほど抑えることができます。
ガス温水式床暖房のデメリット2. 高い初期費用や手間がかかる
床暖房を設置するために、熱源機の設置が別途必要になります。
そのため、初期費用が高くなってしまいます。
熱源機にはガス瞬間式給湯器・温水ボイラー・GHP・コージェネレーションシステムなどがあります。
これらを設置するために配管も行わなければいけないので、手間もかかります。
しかし、初期費用は高いですがガス温水式床暖房は、30年以上も長く使えることが耐用試験でも実証されています。
ガス温水式床暖房のデメリット3. 設置工事が必要
上述したとおり、床暖房を設置するための工事が必要になります。
床暖房を導入検討している場合は、新築やリフォームをするタイミングで行うことをおすすめします。
ガス温水式床暖房の費用
ガス温水式床暖房を利用するにも費用がかかります。
導入からランニングコストまで、どれほどかかるのかご紹介します。
設置費用
ガス温水式床暖房を設置する際の工事費用は、床暖房を設置する部屋の面積や温めるチューブの長さにより変わってきます。
平均で20~30万円ほどです。
さらにここから、床暖房の設置方法によっても金額が変わってきます。
既存の床下を一度剥がしてチューブを設置する方法と、既存の床の上にチューブを設置してその上から温水マットとフローリングを設置する方法があります。
金額で言えば後者の方法が比較的安くなりますが、構造面の変更を考慮すると前者の方がおすすめです。
ランニングコスト
ガス式床暖房なので、プロパンガスと都市ガスによってランニングコストに違いがあります。
プロパンガスの場合、8畳ほどの広さで毎月のガス代が6,000~7,000円ほどです。
都市ガスの場合は、少し安くなり4,000~5,000円ほどになります。
ただし、これは契約するガス会社によって変わってきます。
都市ガスは同じエリア内では契約する都市ガス会社がほとんど決まっているため、料金差にさほど違いは出てこないでしょう。
しかし、プロパンガスの場合は、同じエリアでも契約するガス会社によって料金が大幅に違ってくるので、都市ガス並みの料金まで下げられる可能性があります。
※都市ガスは2017年から自由化となっています。
しかし、料金はもともと低いため、ガス会社による料金の違いはほとんどなく、価格競争もまだまだ行われていないのが現状です。
メンテナンス
基本的にガス温水式床暖房のメンテナンス費用は必要ありません。
ただし、お湯を作り出す熱源機は、最低でも年に1回は点検をしてください。
点検方法はガス温水式床暖房の説明書に記載されているので確認してみましょう。
もしくは、床暖房の販売メーカーへ問い合わせてみることもできます。
また、寒い地域で床暖房を使用している場合は、不凍液の交換も必要になる場合もあります。
床暖房の効率的な使い方
床暖房を使う上で、工夫次第では効率的にガス代を抑えながら利用できます。
その方法をご紹介します。
つけっぱなしで利用する
ガス温水式床暖房は設定温度を低めに設定して、24時間つけっぱなしにしておくと節約になります。
上述したとおり、ガス温水式床暖房の場合は立ち上がりにガス代がかかってしまいます。
そのため、こまめにオンオフをすると返って割高になります。
また、低めに温度設定をすることで循環させるためのガス代も節約することができます。
自動運転を活用する
自動運転で利用することもオススメします。
自動運転にすると、外気温に応じた適度な温度を熱源が察知して温度調節をしてくれるため、ガス代を無駄にすること無く節約できます。
床暖房は設定温度が低くても、体感では暖かく感じるものです。
また、温かい空気は下から上に流れる傾向があるので、床が温まると自然と空気も温められます。
少しでも温度設定を低く保ち、節約につなげましょう。
カーペットなどは薄手のものにする
床暖房は床が温まるので、カーペットやラグは薄いものに取り替えましょう。
厚手のものを敷いたままにすると、熱伝導率が低下してしまうため、余分にガス代がかかります。
まとめ
いかがでしたか?
今日はガス温水式床暖房の仕組みとメリットとデメリットについて説明しました。
ガス温水式床暖房は温度調整を低めにしながら使用することで、ランニングコストを抑えながら安全に使用することができます。
また、ガス会社によっては、ガス温水式床暖房を導入することで、ガス代を割引してくれるプロパンガス会社もあるので、ガス会社変更を検討しましょう。
まちガスではプロパンガス会社変更のお手伝いをします。
ご相談は無料です。
少しでもガス料金が高いと感じる方はお気軽にお問い合わせください。