- プロパンガスの契約も特定商取引法によりクーリング・オフができる
- ガス販売員のセールストークには注意する必要がある
- 契約する前にきちんと内容を確認し、トラブル時にはクーリング・オフを活用する
訪問販売などで契約してしまったが冷静に考えた結果、契約を取りやめたいと思った場合に利用できるのがクーリング・オフ制度です。
今日は、プロパンガス(LPガス)契約におけるクーリング・オフ制度やクーリング・オフの方法について説明していきます。
目次
クーリング・オフとは
クーリング・オフは特定商取引法などの法律で定められたもので、消費者の保護を目的とした制度です。
クーリング・オフは、いったん契約の申し込みや契約の締結をした場合でも、契約を再考できるようにし、一定の期間であれば無条件で契約の申し込みを撤回したり、契約を解除したりできる制度です。
プロパンガスの契約はクーリング・オフできるのか
クーリング・オフは様々な契約で利用出来ますが、プロパンガスの契約もクーリング・オフ出来るのでしょうか。
特定商取引法では訪問販売や電話勧誘販売は8日間以内であれば、書面により相手方に対して、申し込みの撤回や契約の解除が無条件でできることになっています。
プロパンガスの契約でクーリング・オフが適応される取引は以下のとおりです。
訪問販売
事業者が自宅に訪問して、商品や権利の販売又は役務の提供を行う契約をする取引の事で、キャッチセールスやアポイントメントセールスを含みます。
消費者庁が運営する特定商法取引法ガイドでは以下のように記載されています。
「訪問販売」とは、販売業者または役務提供事業者が、営業所等以外の場所(例えば、消費者の自宅)で契約して行う商品、特定権利の販売または役務の提供等のことをいいます。
最も一般的な訪問販売は、消費者の住居をセールスマンが訪問して契約を行うなどの販売方法です。そのほか、喫茶店や路上での販売、またホテルや公民館を一時的に借りるなどして行われる展示販売のうち、期間、施設等からみて、店舗に類似するものとは認められないものも訪問販売に該当します。
また、特定の方法によって誘った客に対して、通常の店舗等で行う商品、権利の販売や役務の提供のことも意味します。
営業所等で行われた契約であっても、「訪問販売」に該当する場合があります。たとえば、路上等営業所以外の場所で消費者を呼び止めて営業所等に同行させて契約させる場合(いわゆるキャッチセールス)や、電話や郵便、SNS等で販売目的を明示せずに消費者を呼び出したり、「あなたは特別に選ばれました」等、ほかの者に比べて著しく有利な条件で契約できると消費者を誘って営業所等に呼び出したりして契約させる場合(いわゆるアポイントメントセールス)がそれに当たります。
電話での販売
プロパンガス事業者が電話で勧誘し、その場で契約を迫る取引のことです。
電話を切った後、消費者が郵便や電話等によって申込みをしてしまった場合にも該当します。
こちらも同じく、消費者庁が運営する特定商法取引法ガイドでは以下のように記載されています。
「電話勧誘販売」とは、販売業者または役務提供事業者が、消費者に電話をかけ、または特定の方法により電話をかけさせ、その電話において行う勧誘によって、消費者からの売買契約または役務提供契約の申込みを「郵便等」により受け、または契約を締結して行う商品、権利の販売または役務の提供のことをいいます。
- 事業者が電話をかけて勧誘を行い、その電話の中で消費者からの申込み(または契約の締結)を受けた場合だけでなく、電話をいったん切った後、郵便、電話等によって消費者が申込みを行った場合でも、電話勧誘によって消費者の購入意思の決定が行われた場合には、「電話勧誘販売」に該当します。さらに、事業者が欺瞞的な方法で消費者に電話をかけさせて勧誘した場合も該当します。電話をかけさせる方法として、政令では以下のものを規定しています。
(1) 当該契約の締結について勧誘するためのものであることを告げずに電話をかけることを要請すること
(2) ほかの者に比して著しく有利な条件で契約を締結できることを告げ、電話をかけることを要請すること
適応されるクーリング・オフの内容
訪問販売や電話勧誘販売で行った取引の場合は、消費者が自分から契約を申し込んだ場合でも、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日間以内であれば、消費者は契約の撤回(クーリング・オフ)をすることができます。
なお、事業者が事実と違うことを告げたり(虚偽)、脅すことによって消費者が誤認・困惑して契約してしまった場合は、上記期間を経過していてもクーリング・オフをすることができます。
また、クーリング・オフを行う際には、後々のトラブルをさけるためにも特定記録郵便、書留、内容証明郵便等で行うことが薦められます。
クーリング・オフを行うまでに、すでに商品(設備)もしくは権利を消費者が受け取っている場合は、販売業者の負担によってその商品を引き取ることや権利を返還することができます。
なお、契約者が既に商品(設備)が使用した場合や役務がすでに提供された場合でも、その対価を支払う必要はありません。
更に、損害賠償や違約金を支払う必要もありません。
すでに頭金等の対価を支払っている場合でも、すみやかに返金を要求すること、土地または建物そのほかの工作物の現状が変更されている場合でも、無償で元に戻すことを要求できます。
ただし、使用すると商品価値がなくなるいわゆる消耗品を使ってしまった場合、現金で支払いをした場合、代金または対価の総額が3,000円未満の場合には、クーリング・オフの規定が適用されませんので注意してください。
クーリング・オフができるかどうか分からずに不安な場合は消費生活センターで相談する事もできます。
プロパンガスの契約で発生するトラブル
プロパンガスの契約では、以前は指定された商品(ガスコンロ、湯沸器などの燃焼器具やガス警報器)だけがクーリング・オフの対象とされてきました。
しかし、現在は特定商取引法の改正によって全商品に適用されることとなり、2009年12月よりプロパンガス(LPガス)業者による訪問勧誘も対象となりました。
こうした背景には、プロパンガスの訪問販売のトラブルが増加していることが上げられます。
ガス料金が安くなる・近所はみんな切り替えているなどと勧誘されて変更したところ、しばらくしたら一方的に値上げされたなどのトラブルが、関東地方を中心として、増加しています。
国民生活センターでもそうした事例を報告しており、注意を呼びかけています。
トラブル事例:「ガス料金が安くなる」という甘い言葉
プロパンガスの料金は自由料金です。
しかし、極端に料金を安くする販売業者がいたら注意が必要です。
契約して数ヶ月は安価な価格になっていたものの、後ですぐに値上げするケースや徐々に値上げして結局は高い料金になるケースなどがあります。
契約時には料金体系を十分に確認してください。
直近のガス料金の安さだけで判断せず、提示された料金がいつまで続くのか、維持管理体制や保守点検体制がどうなるかなどについても十分確認しましょう。
本来はその多くはガス料金に含まれます。
また、プロパンガス料金については地域ごとに異なります。
住んでいる地域のプロパンガス料金について調べたい場合は、一般財団法人日本エネルギー経済研究所内の公的組織である石油情報センターが毎月モニター価格を公表していますので、そういった情報が参考になります。
トラブル事例:「委任状」を求められる
契約の際に「現在契約している業者との解約手続きは、当社でやるので何もしなくていい」とか「費用についても清算は任せてほしい」といって委任状に署名捺印を求めるケースがあります。
しかし、委任したにもかかわらず解約した業者から配管用設備費用を請求されるケースがあります。また、「残金は当方で清算する」という約束だったのにそのままにしていたら、解約した業者から請求された、というケースもあります。
解約手続きは、自分で現在の販売店に連絡を取ることが大切です。
連絡させない場合や頑なに委任状を書かせようとする場合は怪しいと思ったほうが良いでしょう。
その他の注意するセールストーク
また、プロパンガスのセールスでは以下のような言葉を言われた際には注意が必要です。
- 「今の販売店の検針票を見せてください」
検針票には住所氏名やガス使用量などの個人情報が記載されていますので、見ず知らずの第三者に見せてはいけません。
個人情報を悪用されるケースもあります。
- 「プロパンガス(LPガス)料金が自由化になりました」
プロパンガスは当初から自由料金であり、価格の上限・下限の定めはなく販売業者により異なります。
自由化されたと偽って説明するセールスは注意が必要です。
- 「今付き合っている販売店はガス料金が地域で一番高い」
「取引が長いほど高くなります」と表現する場合もあります。
このようなトークは不安を煽ることが目的なのです。
また比較検討できないよう料金表を渡さないセールスは要注意です。
- 「この地域を一斉に切り替え工事を行っています」
「ご近所の皆さんも申し込んでくれました」と言う場合もあります。
このように言われると安心感を持ち、申し込みの大きな動機になりますが、何の根拠もないセールストークです。
こうしたトラブルを防ぐには
こうしたトラブルを防ぐには、契約の際に以下のような点に気をつけましょう
担当者の社名・名前・身分をきちんとチェックする
提示した料金を急に値上げすることはないか
勧誘した後、しばらくすると正当な理由もないのに料金を値上げしたり、サービスの内容が前より悪くなるケースがあります。
あまりにも格安な料金を提示してきた場合は怪しい業者である可能性が高いので、あらかじめお住まいの地域の相場価格を確認しておきましょう。
実際に納入する業者はどこか
勧誘したりチラシを入れる業者の中には、紹介だけを目的としているケースがあります。
実際にプロパンガスを納入するのはどこの販売店なのか、その販売店は「液化石油ガス法に基づく登録事業者」であるかどうか確認しましょう。
保安やサービスの内容はどうか
緊急時に販売店や「保安機関」に連絡が取れすぐに対応してくれるかなど、保安について確認してください。
万が一の際やトラブル時に駆けつけ対応をしてもらえるかどうか確認することも大切です。
契約内容に不利な点はないか
セールスの言葉を鵜呑みにしたり、書類に目を通さなかったりすると思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。
契約条件に「解約時の違約金請求条項」などが設定されている場合もありますので、契約をする前によく内容を確認しましょう。
具体的なクーリング・オフの方法
以上で紹介したポイントに気をつけて、プロパンガスの契約トラブルから身を守りましょう。
しかし、もし怪しいと思う契約をしてしまった場合、どのようにクーリング・オフを活用すればよいかわからないということもあるかもしれません。
その場合の具体的なクーリング・オフの方法をご紹介します。
必ず書面で送付する
クーリング・オフを行うには、まず、申し込みをしたガス会社へ申し込みを解除したいという旨を伝えます。
ただし、電話で伝える場合は契約解除しないように言いくるめられてしまうことも考えられます。
また、電話だと証拠に残らないのでクーリング・オフしたいと伝えたはずなのに後から「そんなこと聞いていない」と言われる等、トラブルになることもあります。
そのため、クーリング・オフを行う場合は必ず書面で行うようにしましょう。
はがきの書き方
書面の中で最も費用が抑えられ、簡単にクーリング・オフの意思が伝えられる方法は「はがきに書くこと」です。
はがきには必要な10個の項目を記載します。
正確な内容を書く必要がありますので契約書や申込書を手元に準備して書きましょう。
はがきの裏面に書く内容は下記の10項目です。
- タイトル
はがきの最上部中央に「通知書」と書きます。 - 契約年月日
「契約年月日:○○年○月○日」と書きます。
契約書や申込書に記載がある年月日を記入します。 - 商品名
「商品名:********」
契約書に記載があるサービスや商品、プラン名などを記入します。 - 契約金額
「契約金額:*******円」
契約書に記載がある契約金額を記入します。 - 会社名
「会社名:株式会社×××× □□□□営業所 担当者△△△△」
契約書にある相手先の会社名を記入します。 - 返金を求める文章
すでにお金を支払っている場合は、「契約を解除します。契約金額○○○○○円を返金してください。」と記載するとよいでしょう。 - 商品の引取を求める旨
ガスの契約とあわせて商品の購入があった場合は商品を引き取ってくださいと記載しましょう。また、すでに工事が済んでしまっている場合は、現状回復を求める文章を記載する必要があります。 - はがきを書く年月日
はがきを書いている年月日またははがきを出す年月日を記入します。 - 契約者の住所
契約した方の住所を記入します。 - 契約者の氏名
契約した方の指名を記入します。
以上の10項目をはがきの裏面に記入します。
そして表には契約書などに記載されている相手先の会社名と住所、代表者名を記入して切手を貼って送ります。
契約書や申込書にクーリング・オフ時の送り先が別途記載されている場合もありますので、よく確認が必要です。
もし指定がある場合はその指定先へ送付しましょう。
また、その送付する書面はコピーして手元に保管しておいてください。
クーリング・オフする際のチェックポイント
クーリング・オフを有効にするためには、はがきや郵便を送る前に抜けている項目がないかチェックしておきましょう。
- 書面に必要事項の記入漏れがないか
クーリング・オフを申し出る書面に記載漏れがあると悪意のある業者の場合、記載漏れを理由に受付けしなかったり、処理を進めないケースがあります。
そのため、クーリング・オフを申し出る書面を書き終えたら、必ず必要事項を記載しているかを確認しましょう。 - 通知書面のコピーは保管したか
クーリング・オフする際に忘れてしまいがちなのが通知書面の控えをとることです。
内容証明郵便で送る場合は記録が残りますが、通常のはがきや手紙の場合、発送してしまうと記録が残りません。
そのため、必ず通知書となるはがきや手紙の両面をコピーしておきましょう。 - 簡易書留等の記録が残る方法で送付する方がより安心
費用を抑えたい場合、通常の郵便でもクーリング・オフの通知はもちろん可能です。
しかし、相手が悪質な業者やクーリング・オフをさせたくない場合、通常の郵便だと「受け取っていない」等と言われてしまう可能性もあります。そうなってしまった場合、送ったと証明するために、郵便局に郵便物を配達したことを確認してもらうなどが必要になり、手間と時間がかかってしまいます。そのため、郵便料金が高くなってしまいますが、確実にクーリング・オフしたい場合は簡易書留や配達証明など相手が受け取った記録が残る方法で送る方が確実です。 - クーリング・オフ妨害や虚偽の説明がなかったか
クーリング・オフ期間を過ぎてしまうと、諦めるしかないと思われるかもしれませんが、8日間の期間を過ぎていてもクーリング・オフができる場合もあります。
それが、クーリング・オフ妨害や特定商取引法の違反があった場合です。ガス会社の中には、クーリング・オフをさせたくなくて「クーリング・オフはできない」と嘘をついて取り合わないケースがあります。
この場合、クーリング・オフ期間が過ぎていてもクーリング・オフできる可能性が高いです。 - 契約解除になったか確認する
クーリング・オフをする場合、契約解除できたことを確認しておく方が安心です。
特に料金の支払いをクレジットカードや銀行引落しなどにしている場合、契約解除が完了していないと料金が請求され続ける可能性もあります。クレジットカードなどを利用している場合、クーリング・オフの通知をカード会社にも送っておくと安心です。
また、工事費など既に支払ったお金がある場合は支払った代金も返金してもらえますので忘れないようにしましょう。 - 関係書類の保管は5年間
クーリング・オフをした場合、契約書や申込書、発送した通知書、先方からの郵便物、送付記録などの関係書類は捨てずに5年間保管するようにしましょう。
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まとめ
いかがでしたか?
プロパンガスの契約でも訪問販売と電話勧誘販売で契約してしまった場合はクーリング・オフ期間の8日以内であればクーリング・オフが出来ます。
また、契約の際に特定商法取引法に違反することやクーリング・オフの妨害があった場合は、期間に関わらずクーリング・オフが行えます。
こういったことが起こらない為にも、怪しいプロパンガス販売会社と契約を避けたいことが大切です。
まちガスでは信頼出来るプロパンガス会社への切り替えをお手伝いしています。
プロパンガスの訪問販売に関するトラブルやクーリング・オフだけでなく、お困りのことがありましたらフリーダイヤルまでお気軽にご相談ください。