「タコ足配線は危険」
一度くらいは聞いたことがある人はいると思います。
でも現実は、住宅に備わっているコンセントの数が電化製品の数と同じくらいあって、延長コードや電源タップを使用していないという家庭はかなり少ないはず。
そのため、危険と知りながらもついタコ足配線をしてしまう家庭が大半だと思います。
今日は、延長コードを使っているときにしがちな、タコ足配線を安全にするコツについて紹介します。
目次
延長コードについて
まずはタコ足配線で必ず使用する、延長コードについておさらいしましょう。
延長コードの正式名称は「テーブルタップ(和製英語)」ですが、今回はお馴染の「延長コード」という名称で説明します。
まず、皆さんのご自宅の延長コードを確認してみましょう。
延長コードに「合計1500Wまで」とか、「15A 125V」とか表記されていませんか?
これが、接続しても安全な電化製品の電気容量の上限で「定格」と呼ばれています。
例えば、ご自宅のテレビのワット(電力)表示が「300W」で、延長コードの定格が「1500W」だった場合、「最大5台(1500W÷300W=5台)」のテレビを接続することができます。
また、お使いの電気スタンドのアンペア数(電流)表示が「1A」で、延長コードの定格が「15A」だった場合、「最大15台(15A÷1A=15台)」の電気スタンドを接続することができます。
ちなみに、ワット(W)は「電力」を表し「実際に消費されるエネルギー」を意味します。この値が大きくなればなるほどたくさんの電力を消費するので、電気料金が高くなるという仕組みです。
アンペア(A)は「電流(電気が流れる量)」、ボルト(V)は電気を圧しだす力「電圧」を表します。
ここでは、各々の意味を深く考えず、延長コードの定格は「ワット」か「アンペア」で表記されているぐらいに考えておいてください。
タコ足配線は危険ではない
上記のように、延長コード本体に記載されている、「合計1500Wまで」や「15A」「125V」のような表示をまもった使い方をすれば危険ではありません。
タコ足配線が危険だと言われている理由は、うっかり「定格電力をオーバーして使用」しやすいからです。
それぞれつないだ機器の使用電力を正確に足し算して、1500W以下に抑えるようにしている人が少なく、使用可能な電流量を超過して使うことで発火させてしまい、火災の原因になることがあるのです。
家電はだいたいどれくらいの電力を使うのか
では、家庭で使用される代表的な家電の消費電力はどれくらいなのでしょうか?
あくまで目安としてですが、以下にまとめてみました。
- エアコン:1000~1400W
(専用コンセントで使用することが多く、暖房の方が冷房よりも電力を使用する) - テレビ、パソコン:130~150W
- 冷蔵庫:150W
- 掃除機:200~1000W
- 電子レンジ:1000W
- 炊飯器:600W
- ドライヤー:1000~1500W
- スマホ充電:100~240W
正確な値は、家電のコンセント部分か取扱説明書に記載があるので、必ず確認するようにしましょう。
同時使用をしなければタコ足配線は可能
たとえば、風圧の強さを売りにしているようなドライヤーの場合、1台で1500W使用する機種もあります。
一般的な電源タップの定格電力を満たしてしまうことになります。
この場合は電源タップを使うことはできないのでしょうか?
これについてはケースバイケースではありますが、仮に同じタップに複数の家電がつながっていたとしても、同時使用しなければ危険ではありません。
節約を考えて電力会社の契約電力を低く抑えている方は分かると思いますが、電子レンジとドライヤーを同時に使えばブレーカーが落ちてしまうので、同時に使うことはできません。
一緒のタイミングで使用しないのであれば、両方をタップにつないでタコ足配線にしておいても問題なく使えます。
最近ではスマホを充電するなどでUSBポートを搭載した電源タップも多く出ています。
この場合は1台につき、およそ100~240Wの電力を使用するので、合計電力に換算する必要があります。
また急速充電を使用する場合は、2.4A(240W)に対応したものを使用する必要があります。
表示のW数以上の家電を使い続けると・・
「電気を使いすぎたらブレーカーが落ちるから大丈夫!」と思っている方は多いと思います。
賃貸などでは電子レンジを使いながらドライヤーを使ったらブレーカーが落ちた、という話もよく聞きます。
ブレーカーは20A(だいたいでいうと2000W)ですので、電子レンジ1300W+ドライヤー1000Wでオーバーします。
しかし、ブレーカーが落ちなくても延長コードで使用できる電力は1500Wまで。
「ブレーカーが落ちないから大丈夫」と、1500W以上を使い続けることで、コードの発火やショートなどの事故につながります。
対策
家庭でできる手軽で確実な方法は、家電をブレーカー付電源タップを経由させて使う事です。
ブレーカー付電源タップとは、延長コードのコンセント部分にブレーカーがついているので、延長コードのコンセントで1500Wを超えるとタップ内のブレーカーが落ちます。
落ちた電源はスイッチ一つで復帰できますのでコンセント(自宅側)の設備に負担をかけることはありません。
その他の注意点
上記では、タコ足配線は安全ではあるけれど、延長コードの最大電力量を超えないように注意する必要があるという説明をしました。
では、それ以外にも注意するべき点はあるのでしょうか?
以下に説明しましょう。
コードを傷付けないこと
いろいろなことに使いたいと、長さに余裕のある延長コードを選んでしまいがちですが、まとめなくても邪魔にならない使用する場所にあった長さのものを選びましょう。
長過ぎるコードを折り曲げたり束ねて使うことで、内部で電線が断線してしまう可能性があります。
また、うっかり椅子や重いテーブルなどの脚などで踏んだり、無理に引っ張ってしまえば、断線やショートの恐れがあり大変危険です。
小さい子供やペットがいる場合は、いたずらされないように気をつける必要があります。
ほこりを溜めないこと
コンセントに電源プラグを差しっぱなしにしていると、電源プラグとの間に大量のホコリが溜まり、そこに湿気が加わると発火することがあります。
これを「トラッキング現象」といいます。
特に、湿気が多い時期や洗面所などの湿度が高い場所で、電源プラグを差しっぱなしにするのは大変危険です。
湿気があるなしに関わらず、差しっぱなしの電源プラグは定期的に抜いて、ホコリが溜まらないようにしっかり掃除をしましょう。
最近では、栓刃の根元に絶縁キャップを付けた製品も増えています。
こうした製品ならホコリがたまっても電流が流れにくいので、普段見えにくい場所にある延長コードには活用してみてもいいかもしれません。
5年経ったら取り替えること
使用環境や使い方にもよりますが、延長コードの寿命は約5年とされています。
見た目に変化がなくても、内部は年月とともに劣化が進んでいることがあるので、そのまま使い続けると、最悪発火に至るおそれがあります。
安全性を高めるため、5年を目安に新品に交換することも大切です。
PSEマークの付いたものを買う
PSEとは電気用品安全法といい、「Product Safety Electrical appliance & materials」の頭文字で、電気製品が安全性を満たしていることを示すマークです。
毎日の生活で使っている照明、テレビ、エアコン、など電気を動力として動いている「電気用品」として区別した上で経済産業省が管理、規制している法律です。
品質に問題があったり、使い方を誤ったりすると火事や感電、火傷などの事故を防ぐという意味で政府が規制をかけているのがPSEになります。
PSEの取得が義務づけられた対象製品においてPSEマークがないものについては、製造、輸入、販売ができず、販売すれば、メーカーや販売店ともに処罰の対象となります。
まとめ
いかがでしたか?
生活が便利になるにつれて家の中には家電がどんどん増えていきます。
一方、コンセントには限りがあり、新たに増設することは現実的ではありません。
結果として、延長コードを使用してタコ足配線になってしまいます。
延長コードはとても便利なものですが、使い方によっては危険が伴うことを再認識し、安全に使いましょう。