【震災時】徒歩帰宅する際の注意点

【震災時】徒歩帰宅の注意点

2011年3月11日に発生した東日本大震災では首都圏でも列車が止まり、道路は車であふれました。

基本的には災害発生時は救助・救命活動の優先や二次災害を防ぐため、むやみに移動を開始しないことが大前提です。

しかし、やむを得ず帰宅しなければいけない場合は、どんなことに気をつけて徒歩帰宅をすればいいのでしょうか?

目次

徒歩帰宅が可能な距離はどのくらい?

徒歩帰宅が可能な距離はどのくらい?

まず、徒歩帰宅が可能な距離について検証してみましょう。

1時間に歩ける距離

少し古いデータになりますが、1975年発行阿久津邦男著書『歩行の科学』によると、歩行速度は成人男性は82.1m/分、成人女性は69.7m/分とされています。

男性は1時間で約4.9km、女性は1時間で約4.2km歩く計算になります。
一般的な平均的移動速度は1時間あたり平均4.4kmくらいとなるでしょう。

災害が起こった時間や天候、歩く方の年齢や体力にもよりますが、歩くことができる距離は最大でも20kmが限界になるかと思います。

靴によって変わる歩行距離

歩ける距離は履いている靴によっても異なります。

一般的に、革靴を履いた男性では15キロほど歩くと足が豆だらけになってしまい、ヒールのパンプスを履いた女性は4キロ歩くのが限界だといわれています。

徒歩帰宅することを考えれば、職場にはスニーカーを備え、外出中に地震が起きた際は近くでスニーカーを購入する必要があるでしょう。

安全な場所に待機するという選択

夏の炎天下や冬の停電時の夜、家が20km以上離れている場合はどれくらい歩けるのでしょうか?

徒歩帰宅することで逆に身の危険に晒される場合は、徒歩帰宅せず職場や近くの避難場所で待機し、公共交通機関が動くのを待つという選択肢もあります。

東京都では、2013年4月1日に東京都帰宅困難者対策条例を施行し、事業者には従業員3日分の食料・水の備蓄を義務付け、災害時には「むやみに移動しない」ことを勧めています。

数日間は会社や一時滞在施設に滞在することが可能とされています。

一時滞在施設とは

都内では、都立施設のほかにも民間事業者や区市町村等の協力により、一時滞在施設の確保を進めており、移動中など屋外で被災した帰宅困難者は一時的に滞在施設に滞在することができます。

大地震が発生した際に受入可能となった一時滞在施設の情報は、東京都や各区市町村、駅前滞留者対策協議会等から速やかに発信されます。

参考:東京都防災ホームページ

徒歩帰宅時に想定されるリスク

徒歩帰宅時に想定されるリスク

では、徒歩帰宅をする際には、具体的にどのようなリスクが有るのでしょうか?

歩道の大混雑

人々が自宅に向けて一斉に徒歩帰宅を始めた場合、路上や鉄道駅周辺では大混雑が発生し、集団転倒に巻き込まれる可能性が高くなります。

また、火災や沿道建物からの落下物等により負傷するおそれがあるなど、大変危険な状態に陥るでしょう。

帰宅困難者の帰宅行動シミュレーションによると、東京湾北部地震発生時には歩道の混雑度が6人/平方メートル以上となる大混雑区間が発生し、多くの徒歩帰宅者が長時間大混雑の中を移動せざるを得ない状況となるとの結果が出ています。

これは、ラッシュアワーの満員電車の状態に近く、群衆なだれが引き起こされる危険性がある状態です。

治安の悪化

徒歩帰宅をする人が晒される

もう一つのリスクとして挙げられるのが、治安の悪化だと言えます。

阪神・淡路大震災(1995年)では、コンビニが停電し決済ができないことで店頭の商品をお金を払わずに持ち出すケースが多発しました。

また、暖を取るために焚き火を行っている集団と、火災を恐れる地域住民との間で発生した多くのトラブルが挙げられています。

その他、無秩序な帰宅困難者による物品などの無断借用や窃盗、トイレや食糧の提供を集団で強要する行為が問題となっていました。

そして、車道を帰宅者が埋め尽くすことによって緊急車両の走行を妨げて救助活動が不可能となったり、冬期の焚き火により発生する火災も危惧されています。

このような状況で、どれくらいの割合の徒歩帰宅者が無事に帰宅できると思いますか?

それでも徒歩帰宅する際のポイント

それでも徒歩帰宅する際のポイント

それでも徒歩帰宅する必要がある場合、どのような点を押さえればリスクを最小限に留めることができるのでしょうか?

安全確保のためのグッズ

まずは、徒歩帰宅中に見舞われる様々なトラブルを回避するために必要な物品を揃えましょう。
日頃職場に置いておくと安心できると思います。

  • リュック

通勤カバン自体がリュック型であれば、不要なものを取り出してそのまま使えます。
手提げカバンは両手をふさいでしまうため、おすすめはできません。

  • 現金

停電時は電子マネーが使えない可能性があるため、現金を用意しておきましょう。
公衆電話も使うことができます。

  • ヘルメット

余震による落下物などから頭部を守るために必要です。
会社支給のものがなければ自分で準備しましょう。

  • レインコートなどの雨具

徒歩帰宅の途中で雨に濡れると、思いの外体力を奪われてしまうため雨具は必須です。
両手を空けるため、傘ではなくレインコートやポンチョを準備しましょう。

  • LEDヘッドライト

非常時の徒歩帰宅は日中明るい時間であることが鉄則ですが、移動中に日が暮れてしまった場合や、暗い場所を通行しなければならない場合に準備しておきましょう。
こちらも両手を空けるため、ハンドライトではなくヘッドライトを選択しましょう。

  • 歩きやすく頑丈な靴

長距離をあるく場合は歩きやすい靴が必須。
割れたガラスなどの危険物の散乱が想定されるため、靴底が頑丈なものを準備します。

  • グローブ

危険物をどかしたり転んだ際に手をつく場合に、手指を保護するために必要。
軍手だけでも準備してください。

  • マスク

感染症対策のためにももちろん必要ですが、大地震直後は粉じんが立ち込める状況が想定されるため、必ず用意しましょう。
寒い季節は防寒具の一部にもなります。

  • 応急手当セット

最低限、絆創膏と傷パッドは用意しておきましょう。

  • 飲料水

被害が大きい場合、帰宅途中で物資の入手ができない可能性があります。
重量がかさむと体力が奪われるため、500mlのペットボトル1~2本程度にとどめましょう。
栄養補給を兼ねたゼリー飲料も有効。

  • 食料

帰宅するまでの歩行に必要なエネルギーを摂取できればよいため、普段オフィスで食べているチョコレートやバランス栄養食があればこれを持ってゆきましょう。

  • モバイルバッテリー

スマホのバッテリーが切れてしまっては、情報収集も安否確認もできないため、モバイルバッテリーは必須です。
日頃から使用していればそのまま使えますが、予備として「乾電池式バッテリー」があると役立ちます。

屋外でのスマホの充電が可能な場所

最近では、屋外で携帯の充電をさせてくれる場所や、モバイルバッテリーを貸し出してくれる店舗が増えています。
下記のキーワードであらかじめ検索して調べておけば安心です。

  • 駅やコンビニでのバッテリーレンタル
  • 自販機での充電
  • 携帯ショップでの充電
  • カーシェアでの充電

 

帰宅ルートの決め方

帰宅ルートを選ぶ際は、なるべく安全な道を選ぶことが大切です。

無理に近道をしようとすると迷う可能性もあるので、幅の広い幹線道路を選択しましょう。

幹線道路は広くて歩きやすいだけでなく、火災の延焼を防いだり熱を遮ったりする効果もあるので安全性が高いと言えます。

もし、地震によって道路が被害を受けた場合、優先的に復旧作業が実施されるというメリットもあります。

そのほか、災害時に帰宅支援拠点となる公共施設やコンビニ、ガソリンスタンドなどが多く、飲料水の提供やトイレの使用、道路情報の提供などのサービスが受けられます。

帰宅支援ポイントとは

地震が発生すると、公共施設のほかコンビニ、ガソリンスタンドなどが帰宅支援拠点としての役割を果たします。
特にガソリンスタンドの建物は、消防法に基づいた厳しい耐震基準をクリアしています。
大都市圏の多くの自治体ではガソリンスタンドの組合と協定を締結していて、地震の際は、水、トイレ、情報の提供などのサービスを実施します。
コンビニエンスストアは、身近なライフラインの一つとして食料や飲料の販売のほか、トイレの提供も行います。

まとめ

いかがでしたか?

大規模地震のときは、公共交通機関の復旧に時間がかかることが予想されるため、徒歩での帰宅が基本となります。

しかし帰宅可能な人とは、普段から徒歩や自転車で通える距離から通勤通学をしている人と考えた方がよいでしょう。

電車を利用している大多数は徒歩帰宅にメリットはなく、無事に帰宅できるという保障はありません。

帰らなければいけない事情は人それぞれあると思います。

しかし子育中の方や高齢者の介護をしている方はまず、学校や保育所をはじめとした地域コミュニティでの対策を講じておき、非常事態に備える必要があるでしょう。

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