- プロパンガスは安全性が高い上、地震にも強い
- 都市ガスや電気などのインフラに比べて復旧が早い
- ガス漏れの際は換気扇などの家電製品を使ってはいけない
都市ガスに比べて料金が高いと言われるプロパンガス。
ですが、都市ガスよりもプロパンガスの方が地震などの災害に強いと言われています。
この記事ではプロパンガスが地震に強い理由についてお話します。
目次
プロパンガスが地震に強い理由
安全性の高さ
プロパンガスが地震に強いと言われる理由として、まずは安全性の高さが挙げられます。
プロパンガスを使用している各家庭にはガスメーター(マイコンメーター)が設置されています。
このガスメーターは、震度5以上の地震を感知すると自動的にガスを遮断し、二次被害を未然に防ぐ仕組みになっているのです。
また、ガス管の亀裂や腐食によってガスの漏洩が起きたときにも、自動的にガスが遮断されるようになっています。
プロパンガスにはこのマイコンメーターが設置されているため、大きな地震が発生した際にもガスを自動で遮断してくれるので安全性が高いと言われています。
復旧の早さ
プロパンガスはボンベが各家庭に設置されているので、配管が短く点検が簡単です。
そのため災害時にガスが止まっても業者がすぐに点検をすることができ、点検が終了すればすぐガスが使えます。
このような理由で、プロパンガスは地震などにより遮断されたとしても、遅くても2週間ほどで復旧します。
供給の早さ
復旧が早いだけでなく、仮設住宅でもガスボンベさえ持っていけば、スピーディーに供給できます。
ガス管を地下に埋める設備工事がないので、被災地への配送ルートさえ確保できればすぐに供給することができるのです。
避難所などには、プロパンガスで使える発電機や炊き出しセットなど、災害時用の緊急システムが備えられており、災害時にいち早くライフラインを確保することができるようになっているのです。
プロパンガスの方が都市ガスよりも料金は高めではありますが、災害時について考えるとプロパンガスの方が復旧が断然早いといった理由から、プロパンガスの導入を考えている人が増えています。
災害時の都市ガス
次に、都市ガスの地震対策と都市ガスが地震に弱い理由について説明しましょう
都市ガスの地震対策
都市ガスは、「ガス管・ガスコンビナート(ガス貯蔵設備)・工場(ガス製造設備)」の3つから構成されています。
工場で都市ガスを生産し、コンビナートに送り貯蔵、そして貯蔵したガスをガス管のガスラインを通して各家庭に供給しています。
このような一連の設備にももちろん地震対策は行われています。
- 各家庭にあるマイコンメーターで地震感知
- 地区ガバナ(整圧器)に地震計が設置されている
- ガス管は地震感知で遠隔操作し遮断
- 工場では必要に応じて製造をストップする
以上のような4つの地震対策設備が備わっています。
地震が発生すると各設備でガスを遮断し、被害を最小限に抑えるのです。
都市ガスが地震に弱い理由
都市ガスは工場でガスを製造し、各家庭にガス管を通して供給するというシステムをとっています。
そのため、どうしても構造的に地震には弱いのです。
地震が発生するとガス管はその影響を直に受け、ガス管に亀裂が入ったり、破裂してしまいます。
復旧を行う場合は、順次地中にあるガス管をチェックし、問題ないところからガスの供給を開始して使用を再開します。
地震発生エリア全部のガス管をチェックして、破損のあるガス管は掘り出して新しいものに交換する必要があるのです。
ガス管のチェックと交換が終わらなければ復旧することができないので、どうしても全面復旧までには時間がかかることになります。
進歩している都市ガスの地震対策
しかし、そんな都市ガスも東日本大震災での復旧の教訓を生かして対策を施しています。
熊本では地震に強いガス管に交換し、スムーズに作業ができるように作業員の訓練も行われてきました。
この結果、2016年4月14日に発生した熊本地震では、想定よりも早く復旧が完了し、予定よりも1週間早くガスの利用が再開されたのです。
地震発生時のとっさの行動
それでは実際に地震が起きた際はどのような行動をすればよいのでしょうか。
第一に安全の確保をしてからプロパンガスへの対応をしましょう。
まずは身を守る
地震による強い揺れを感じたら、まずはご自身の身の安全を確保しましょう。
落下物が落ちてこないような場所や机の下などの落下物を防ぐ場所へ移動します。
調理中であれば、火を消す前に熱湯や油を浴びないように離れることが重要です。
地震や災害が合った際は「まずは火の元を消す」というイメージがありますが、現在はガスの自動遮断機能が付いているためその必要はありません。
プロパンガスの確認をする
地震の揺れが収まったら、以下の順番でプロパンガスのチェックを行いましょう。
- ガス機器の全ての火を消す
- ガス栓を全て締める
- 屋外のガスボンベが倒れていないか確認する
(チェーンが緩んでいないか)
地震揺れが収まった際に室内でガスの臭いを感じた場合は、ガス漏れの可能性があります。
そのような時は、屋外のメーターの場所についているガスメーターバルブと、ガスボンベについている容器バルブを時計周りに回して締めましょう。
マイコンメーターの復帰
地震でプロパンガスが止まっても、基本的には家庭の操作で復旧が可能です。
マイコンメーターを復帰させるには、まず最初にすべてのガス機器の元栓が閉まっているか確認してください。
確認したら、以下の通りに復旧作業をします。
- マイコンメーターの復帰ボタン(しゃ断弁開スイッチ)を長押しします。
復帰ボタンは、メーターの左下にある黒いボタンです。 - 液晶画面に表示されていた「ガス止」という文字が消え、ABCの文字と赤いランプが点滅を始めたら、1分ほど待ちます。
(この間はメーターが自動でガス漏れチェックを行っています) - 問題が無ければ液晶の文字が消えてガスの供給が再開します。
ガス漏れがあった時の注意点
地震の揺れが収まった後にガス漏れを疑えば当然、換気のために換気扇を回すことを考えると思います。
しかし、地震のあと電化製品を使うことはとても危険です。
なぜなら、発火の原因に繋がるからです。
電化製品はガスが引火する火種になり得ますので、絶対に使ってはいけません。
では換気をするにはどうすればいいのでしょうか?
プロパンガスは空気より重く、足元に溜まりやすいのが特徴です。
窓だけではなく、ドアを開けるなどして、足元から空気の入れ替えを行ってください。
ガス販売店に連絡をする
ガス会社は、災害などの緊急事態に備えて24時間電話対応可能な連絡先を用意しています。
上記の対応を行った後は、販売店に連絡をして点検などの対応してもらいましょう。
この対応で別途料金が掛かることはありませんので、安心して連絡してください。
販売店の緊急連絡先は、災害時にすぐに連絡が出来るよう、日頃から目に付く場所に控えておくことも重要です。
以下の事をガス販売店に伝えれば、スムーズです
- 名前
- 住所
- 近所の目じるし
- 状況
テレビなどのメディアのライフライン情報で、ガスが復旧したという情報が入ったとしても、ガス会社の指示が出るまでは勝手にガスの使用を再開してはいけません。
二次災害に繋がる事にもなりますので、必ず契約しているガス会社の指示を待ちましょう。
まとめ
いかがでしたか?
今日は、プロパンガスの長所の一つである、災害に強い点について説明しました。
そして、プロパンガスのガス容器は常に2本設置されています。
たとえ1本目が切れていたとしても、残りの1本で1ヶ月以上は持つと言われています。
災害時は、プロパンガスが都市ガスや電気に比べて早く復旧したという結果があることから、震災対策としてプロパンガスを選ぶ方も増えているのです。