私達が普段から何気なく使っている電池。
量販店に行くとたくさんの種類が並んでいるので、「どう違うのかな?」と悩んだことがある人は多いのではないでしょうか?
電池には、マンガン電池やアルカリ電池などの乾電池や、充電すれば何度でも使える充電式電池があります。
また形も、コイン形やボタン形など、形状も様々です。
今日は、乾電池の特徴や選び方など分かりやすく解説していきます。
目次
乾電池とは?
まず、私達の生活に無くてはならない電池がどのような仕組みで使われるのか検証してみましょう。
乾電池の仕組み
電池とは、電気を蓄えておき、必要な際に放電するという機能を持っています。
この放電によって発生する電気は「直流」です。
つまり、乾電池を使って動作する電気機器は、直流で動作するよう作られています。
乾電池の仕組みは、亜鉛の筒をマイナス極、中心に入っている炭素棒や酸化マンガンをプラス極とし、内部に充填した電解質の反応にマイナス極からプラス極へ電子を動かして放電させます。
乾電池を分解して中の電解質を見てみると、粉末状の固体であることがわかります。
「乾いた電解質」を使用していることが、乾電池といわれる由来になります。
乾電池の容量
乾電池の単1・単2・単3という数字は聞いたことがあると思います。
この数字で電池の容量とサイズを規格化しています。
大容量の電気機器には、単1電池を使用することで、効率よく長時間稼働させることができます。
また、小型化されている電気機器は、運転時間は短くなりますが、電気機器本体を小型化するために単4や単5電池を使用しているのです。
単の数字が小さいほど長時間の運用に耐え、瞬間的な大電流にも耐性があると覚えておきましょう。
尚、マンガン乾電池は黒色を超高性能、赤色を高性能と区分しており、黒色の方が長時間運用・瞬間的に大きな電流を流せる性能が高くなります。
新品の乾電池を使用する場合、赤と黒は性能が違うので使用する電気機器によって使い分けましょう。
マンガン乾電池とアルカリ乾電池
私達が普段使う代表的な電池には、大きく分けると「マンガン」と「アルカリ」があります。
それぞれどんな特徴があるのか見ていきましょう。
マンガン乾電池の種類と構造
マンガン乾電池は、1個あたり1.5Vの電圧を供給できる乾電池で、微小な電力を長時間使用する機器や、瞬間的に大きな電力を必要とする機器に適しています。
以下の機器に使用されることが多いです。
- テレビリモコン
- 時計
- ガスコンロ(点火時)
- 懐中電灯
- ラジオ
- 電卓
マンガン乾電池の中心には集電体と呼ばれる炭素棒があり、正極活物質に二酸化マンガン、負極活物質に亜鉛を充填し、電解液に塩化亜鉛や塩化アンモニウムを使用した一次電池で、充電はできません。
正極と負極は互いがセパレータによって区分されていて、炭素棒、正極、負極は絶縁チューブによって覆われ、乾電池本体の外装は金属が施されています。
マンガン乾電池の電解液である塩化亜鉛水溶液は、その性質がほぼ中性であるため、万が一液漏れして人体に接触しても被害はほとんどありません。
また、電気機器の内部で液漏れが発生しても、比較的早く粉末に変化して金属を腐食させることもなく安全性は高めです。
安価だったマンガン電池
マンガン電池の従来の単価は、アルカリ電池の半額程度でした。
しかし今ではアルカリ乾電池の単価がかなり下がったので大きな価格差は見られません。
アルカリ乾電池の種類と構造
アルカリ乾電池はマンガン乾電池よりも高出力で、長時間駆動させる電気機器に適している乾電池です。
使用される主な機器は以下のものです。
- シェーバー
- カメラのストロボ
- ミュージックプレイヤー
- ラジコンカーなど
アルカリ乾電池は、集電体にメッキ処理が施された真鍮棒が使用され、正極活物質に二酸化マンガン、負極活物質に亜鉛、電解液に苛性アルカリを使用した一次電池で、マンガン乾電池と同様に充電はできません。
自然放電が少なく、長期の保存に適しています。
アルカリ乾電池の電解液は、アルカリ濃度の高い水酸化カリウム水溶液が使用されているため、液漏れ時の被害は大きくなります。
また、電気機器内部で液漏れが発生すると、端子部の腐食はもちろん、人体に触れることで皮膚を痛める可能性があるので、取り扱いには十分な注意が必要です。
一次電池と二次電池とは
一般的に、一度使い切りのものを一次電池、くりかえし充放電が可能なものを二次電池と呼びます。充電式電池にも様々ありますが、主に「ニカド電池」「ニッケル水素電池」「リチウムイオン電池」の3種類が広く使われています。
ボタン型とコイン型電池
直径よりも高さが小さな電池をその形状からボタン形電池、またはコイン型電池といいます。
アルカリ素材を使っている電池はボタン電池、リチウム素材を使っている電池はコイン電池と呼びます。
尚、アルカリ電池は1960年代頃から普及していましたが、リチウム電池は1990年代後半ぐらいから普及しています。
ボタン型電池のサイズ
ボタン電池の寸法は、41(外径7.9mm、高さ3.6mm)、43(外径11.6mm、高さ4.2mm)、44(外径11.6mm、高さ5.4mm)と国際規格で決まっています。
形状の記号「R」が円筒の形状を表します。
ボタン型電池の主な種類
ボタン形電池には主に、下記の2種類があります。
電圧は、1.4ボルトから1.55ボルトです。
酸化銀電池
品番は「SR」。
最後まで電圧が一定であるため、腕時計や電子体温計などの精密機器に使用されています。
アルカリボタン電池
品番は「LR」。
アルカリボタン電池は、酸化銀電池の廉価版で互換性があります。酸化銀電池に比べ価格が安く経済的ですが、使っていると徐々に電圧が下がってくるのが特徴で、携帯ゲーム機、電卓、万歩計、おもちゃなど様々な物で使われています。
コイン形電池の特長と品番
コイン形電池は主にリチウムが使われていて、品番は「CR」と表されます。
こちらの電圧は、1.55ボルトと3ボルトです。
酸化銀電池(SR)やアルカリボタン電池(LR)に比べ、約2倍の電圧で自己放電も少ないことから、長期間の使用に向いていて、メモリーバックアップ、電子手帳、キーレスエントリーなどに使われています。
様々な電池
ニカド電池
正式には「ニッケル・カドミウム電池」といいます。
近年は減少傾向にありますが約500回もの充電が可能で、安定した電圧を供給でき、コードレス電話や電動工具に使われています。
ただし、放置しているだけで電圧が低下することや、継ぎ足し充電すると本来の充電容量が低下してしまう欠点があります。
また、有害物質のカドミウムを含有しているので破棄時は注意が必要です。
ニッケル水素電池
ニカド電池と同じ欠点はありますが、日々開発がされていることで欠点はだいぶ抑えられています。
ニッケル水素電池の長所は、ニカド電池の倍以上の電池容量があることです。
リチウムイオン電池
近年の充電池の主流となっており、携帯電話やノートPCなどに使われているのが、リチウムイオン電池です。
約3.7Vの高い放電電圧を持ち、500回以上の放充電が可能です。
機器が大きくなる傾向にありましたが、技術改良により小型化が実現し、重量も軽くなりました。
ニカド電池、ニッケル水素電池にあるような欠点はほとんどありませんが、過充電や過放電により高温を発するので安全回路が必要です。
使用上の注意点
液漏れさせない方法
マンガン電池やアルカリ電池などの乾電池は、経年劣化や機器に入れたままの過放電により、液漏れすることがあります。
その防止方法としては、長期間使わない機器の電池は抜いておく、または電池端子の部分に紙を挟んで放電させないようにするといいでしょう。
もし液漏れをしてしまった場合には、すぐに電池を取り出して、機器についた液体は綿棒などでよくふき取って下さい。
機器を長時間放置すると液漏れする可能性がありますので、定期的に電池の状態を確認するようにしましょう。
- 電池の向きは正しく装着すること
- 電池の種類(アルカリ電池とマンガン電池、充電池など)を混ぜて使用しないこと
- 新しい電池と古い電池を一緒に使用しないこと
- 使い切った電池は放置しないこと
- リモコンや時計などの電池は定期的に新品と交換すること
冷蔵庫で保管しないこと
電池を冷やして保管すると寿命が長くなると考え、冷蔵庫で保管することがあります。
冷蔵庫内に保管して低温のまま使用すると、電池に結露が発生して絶縁不良を起こすことがあるので、冷蔵庫での保管はやめましょう。
また、放電特性が悪くなるため電池の容量も低下してしまいます。
電池の保管は、室温に近い直射日光の当たらない10~25℃の冷暗所が最適です。
電池の短絡(ショート)とは
電池における「短絡」とは、電池の+と-を、金属を始めとした導体(電気を良く通すもの)でつなぐことを意味しています。
いわゆる電気関連用語の「ショート」を指します。
例えば、電池のプラスマイナスの電極に導線だけをつないだ場合にはこの短絡(ショート)が起こります。
ショートすると導体に大電流が流れるため、火花が出たり、電池や導体が非常に高温になります。
最悪の場合、電池は破裂もしくは発火する恐れがあるため、ショートを起こさないように気を付ける必要があります。
ヘアピンやクリップなどが電池と接触しているだけで、ショートが発生する恐れがあるので、金属を含む部品と一緒に保管しないようにしましょう。
また、使用済みの電池は、端子部分にセロテープ等を貼り付けて絶縁させておくのが安全です。
もし、電池や電気製品がショートしたら、すぐに大量の水や消火器で対処することが重要です。
正しい捨て方
マンガン電池やアルカリ電池などの一般的な乾電池は、自治体のゴミの日で出すことができます。
お住まいの市区町村のゴミの案内などで確認してみましょう。
充電式電池は、家電店やホームセンターなどの回収協力店の回収ボックスに入れて、リサイクルゴミとして出しましょう。
ボタン形やコイン形の電池は電池内部に微量の水銀(有害物質)を含んでいるので、基本的に市区町村のゴミで出すことは出来ません。
もし不燃ゴミにまぎれて廃棄してしまうと、発火などの原因になり非常に危険です。
こちらも、量販店などの協力店などに設置された回収箱に入れましょう。
まとめ
いかがでしたか?
小さいながらにも電池の世界はなかなか奥深いものですね。
電池はきちんと選んで安全に賢く使いましょうね。