毎日なんとなく使う電子レンジ。
自炊をしていなくても、食事のたびに使っている方は多くいると思います。
あなたは電子レンジを正しく使っていますか?
電子レンジの基本を知っていると効率的に調理することができ、結果的に節約にもなるのです。
今日は電子レンジの上手な使い方を紹介します。
目次
電子レンジの仕組み
英語では「microwave oven(マイクロウェーブ・オーブン)」と呼ばれる電子レンジ。
どのようなきっかけで開発され、どのような仕組みかご存じでしょうか?
電波によって物を加熱する方法を開発したのは、1945年のアメリカでした。
レイセオン社のスペンサー博士は、レーダーの実験中に自分のポケットに入れていたチョコレートが電波(レーダー用の極超短波)で、瞬間的に溶けた現象を捉えて、研究開発したものです。
日本に電子レンジ技術が導入されたのは1961年のことで、当初は業務用として開発され、後に一般家庭用商品として徐々に普及しました。
電子レンジの電波は、マグネトロンの先端のアンテナから放出されます。
この電波の周波数2,450メガヘルツ(MHz)。
1秒間に24億5千万回も振動(プラスとマイナスの極が交替)する性質があります。
電波が食品に含まれている水の分子などを振動させ、摩擦熱を生じさせます。
この摩擦熱が広がって食品全体を温めるという仕組みです。
電子レンジの上手な使い方
それでは、電子レンジを効率的に使うコツについて紹介していきます。
使えるものと使えないもの
電子レンジ調理では「使えないもの」もあります。
素材の耐熱性が不足していたり、誤って使ってしまうと金属がスパーク(火花)を起こすなどの危険性があるため、表示をよく確認して「電子レンジ調理に使えるもの」を選びましょう。
電子レンジ調理で使えるものは以下のものです。
- 陶器
- 磁器
- 耐熱ガラス
- 耐熱性のあるプラスチックやシリコン容器
- ラップ
これに対して、電子レンジ調理で使えないものはこちらです。
- アルミ
- ステンレス
- ホウロウなどの金属容器
- 土鍋や素焼きの器
- 金銀模様のある陶磁器、
- 木製容器
- 漆器
- 耐熱性のないガラス
- 耐熱性のないプラスチック製品
- 金属の串
- アルミホイル
ターンテーブルの端に置く
ターンテーブルがある電子レンジは、電磁波をある一方から照射しているタイプです。
このタイプはターンテーブルに食品をのせ、移動回転させることで照射ムラをなくし、加熱を一定にさせる必要があります。
もしターンテーブルの中心に食品を置いてしまうと、テーブルは回りますが食品は移動しません。
温めたい食品はより多く移動させるために、中心からずらして外側に置きましょう。
また、耐熱皿などに食品を並べて加熱するときは、中心をあけて並べましょう。
肉と野菜を一緒に加熱するときは、中心に火が通りにくい肉、外側に火が通りやすい野菜を、というように並べるのがコツです。
一方、フラットタイプの電子レンジにはセンサーが内蔵されていて、食品を移動させなくても均一に加熱することができます。
このタイプの電子レンジは、真ん中に食品を置けばOKです。
ワット数に応じて加熱時間を調整
Wで表記されるワット数は出力される電気の力(電力)の大きさを示します。
一般的に、100W~400Wは弱火にあたり、解凍などじっくりあたためることに向いています。
500W~800Wは中火・強火にあたり、短時間でものをあたためることが可能です。
ところで、レシピを見ていて「600Wで5分と書かれているけれど、うちの電子レンジは500Wしか使えない」なんてことありませんか?
実は電子レンジの加熱時間は以下のような公式で算出することができます。
(レシピのワット数×加熱時間)÷ 使用する電子レンジのワット数 = 実際に加熱する時間
計算する際は加熱時間を「秒」に変換することで、より正確な数字が出せます。
おおよその分数で問題ない場合は「分」で計算してもOKです。
500Wと600Wといった差異ならこの方法で加熱時間を割り出してみましょう。
料理をこまめに混ぜる
いくら性能の良い電子レンジを使っても、加熱ムラが起きることはあります。
とくにカレーやシチューなどの煮込み系の料理は、一部分だけ温まってしまったり、突沸することもあります。
このような事態を防ぐために、電子レンジで加熱する前に必ず混ぜておきましょう。
一晩冷蔵庫で寝かせたカレーは、ひとまぜしてから電子レンジに。
また、最初から3分加熱するのではなく、1分ずつ様子を見ながら途中で混ぜたり、ゆすってみたりすることで、加熱ムラを防ぐことができます。
ラップのかけかた
電子レンジを使うときによく使用するラップ。
何を温めるときにもラップをつけていませんか?
ラップは鍋の蓋のような役割をし、熱効率がよくなり早く温まります。
また、水分が逃げるのを防ぐので、しっとりと仕上がります。
このため、煮物などを温めるときの使用はマストですが、揚げ物や焼き魚などは水分を飛ばした方が美味しく温まるので、ラップをしないで温めたほうが良いのです。
レンジ加熱をするときは水分を飛ばしたほうがいいのか、しっとり仕上げたいのか、料理によってラップの有無を決めましょう。
電子レンジ調理で便利なアイテム
電子レンジを使う際に、あると便利な「アイテム」を知っておきましょう。
食材の飛び散りや乾燥を防ぐことができます。
目安として、耐熱温度が140℃以上のものを選びます。
- クッキングペーパー
食材の余分な水分や油分を吸収します。
濡らして使用すれば食材に水分を補うこともできます。
厚手のクッキングペーパーを水でぬらして食材をくるみ、電子レンジで加熱すれば、野菜の下ごしらえや蒸し料理も作ることができます。
- オーブンシート
食材がくっつかないので仕上がりが良く、蒸気を通すので水っぽくなりません。
- レンジ調理バッグ
専用レシピに従って、材料・調味料を入れて電子レンジで加熱するだけで、じっくり煮込んだような料理が簡単に作れます。
汚れをそのままにしない
使うたびに掃除しているという方はどのくらいいるでしょうか?
食器とは違い、電子レンジ庫内の掃除は後片付けの際に忘れがちですが、実は料理の仕上がりに影響することがあるのです。
庫内に汚れが付着したまま使うと、食品だけでなく汚れた部分も温めようとして電磁波が分散し、加熱の効率が下がってしまいます。
結果、加熱ムラが頻繁に発生したり、中まで加熱されなかったりと、レンジ汚れのせいで料理の味が落ちてしまうことも。
温まり方に偏りがある、もしくは温まりにくいと感じる場合は、庫内が汚れていないか確認しましょう。
加熱効率が下がると、その分電気代も余分にかかることになります。
最悪の場合、発火の原因になることもあるので注意が必要です。
簡単なお手入れ方法
レンジで調理する際には、蒸気が発生します。
この蒸気の大半が水分ですが、その中に油分やタンパク質などが含まれています。
特に、揚げ物など脂質を多く含んだ食材を温めると油汚れが飛び散ることがあるでしょう。
しかし調理直後は蒸気でレンジ内が潤っているので、さっとひと拭きで汚れが落ちやすい状態になっていますので、調理後のお手入れを心がけていつもきれいな状態で使用したいものです。
汚れがひどい場合は、水1カップに重曹大さじ1を混ぜて2分ほど加熱し、蒸気をペーパータオルでふき取るとすんなり汚れを落とすことができるのでおすすめです。
電子レンジの注意点
電子レンジは使用方法を間違うことで、食材を無駄にしてしまうどころか、思わぬ事故を引き起こすとがあります。
以下に注意点をまとめました。
破裂を防ぐひと手間
以下の食材には皮が付いているので加熱の際に中身が膨張して破裂してしまいます。
これらの食材には、破裂を防ぐために、加熱前に切れ目を入れておきましょう。
- ソーセージ
- レバー
- オクラ
- ナス
- 丸ごとの魚
- イカ
- タラコ
アルミホイル
電子レンジの温め機能は、マイクロ波を放射して水分を振動させることで食品をあたためます。
その際、水分だけでなく電子の分子も振動されるため、電子レンジで金属をあたためてしまうと火花が飛び散り、発火の可能性が高まってしまいます。
しかしオーブンやグリル機能はマイクロ波を使わず熱をあてるので、例えば食パンの下にアルミホイルをひいてトーストを作る分には問題がありません。
卵
電子レンジでゆで卵を作ろうとしたら、爆発してしまって片付けが大変だった・・・
調理初心者にはよくある失敗談でしょう。
なぜ爆発してしまうかというと、マイクロ波を放射してあたためる際に食材内部の温度が上がり、その結果沸騰したり膨張するためです。
卵は殻に守られているだけでなく、薄い膜におおわれた黄身を持つ食材です。
それ故に密閉状態で内部が膨張した結果、爆発に繋がってしまうのです。
卵以外にも、ラップをぴっちり巻いてレンチンした時などに、爆発までいかずともボン!と音を立ててしまうことがあるでしょう。
卵は殻を割っていても黄身が崩れていないと、爆発の原因になってしまいます。
しかし溶き卵であればその心配はないので、沸騰することはあっても爆発はしません。
まとめ
いかがでしたか?
いまや1家に1台あるといってもいいほど普及した電子レンジ。
最近の電子レンジはオート機能などもついていて、すごく進化しています。
スイッチ1つで加熱でき、料理の温め直しはもちろん、食材の下ごしらえ、下ゆでにも使える便利なアイテムとなりました。
料理が苦手な方も、毎日忙しいなか少しでも時間を節約したい方も、電子レンジの基本的な使い方をマスターして生活の質を上げられたらいいですね。