夏場にピークを迎える落雷の被害。
落雷は停電など広範囲に及ぶ被害をもたらしますが、家庭のパソコンや家電などを壊すことがあります。
落雷被害なんて遭ったことがないなんて人は多いと思いますが、近頃の家電は安くはありませんし、パソコンに被害があると大事なデータが失われてしまうケースも。
しかし落雷被害は事前のちょっとした対策で回避することができるのです。
最悪な事態を避けるため、雷鳴が聞こえる前の対応や落雷時に家電製品を守る方法ついてご紹介します。
目次
落雷で家電製品が壊れる理由
雷サージとは?
落雷時に放たれる電圧は数百万から10億V(ボルト)と言われています。
仮にその平均値を1億ボルトだとすると、家庭で使用する電圧は100Vなので雷のエネルギーは100万倍に相当し、最大で家庭の電気使用量の50日分にもなると言われています。
これが人間に直撃すれば感電して死にいたる可能性がありますし、電柱や住宅、樹木、ガス管などに落ちれば火災が発生するおそれもあります。
そして落雷の際に問題になるのが「雷サージ」です。
雷サージとは、電気や通信の線に高い電圧がかかったり、過剰に電流が流れることをいいます。
直接落雷があった場所だけでなく、雷の発生した周辺に大きな電圧が発生するのです。
一過性のものではありますが、この雷サージが家電製品や電気設備などに関わると、最悪一発で壊れてしまう可能性があります。
何故かというと、その異常電圧が電線や電話線、TVアンテナ線など外部とつながるケーブルを通して家電に電流が流れ込むためです。
建物の避雷針が防いでくれるのでは?と思われる方もいると思います。
日本では高さ20mを超える建物には避雷針の設置が建築基準法で義務付けられていますが、こうした設備は雷の直撃から建物や人間を守るものなので、雷サージの発生や侵入を防ぐことはできません。
雷鳴を聞いたらまずすること
雷サージは半径数キロメートルもの範囲に影響をおよぼすことがあります
ですので、雷鳴はまだ近くはないと思っていても、油断は禁物です。
自宅やオフィスで雷鳴を聞いた場合、コンセントやアンテナ線、アース線、電話線、LANケーブルなど、電源につながっているすべてのケーブル類を抜き、外部と電気製品との接続を物理的に断つことが重要です。
以下のことを実行しましょう。
- パソコンのデータを保存する
- 電源を切る
- 電源ケーブルをコンセントから外す
- 外部とつながるケーブルも全て外す
(TVアンテナケーブル、LANケーブル、モジュラーケーブル、アース線など)
ただし、雷サージが発生するおそれのある場合、電源ケーブルに手を触れるのは危険です。
雷鳴が聞こえてきたらできるだけ早めにゴム手袋などを着用した状態でケーブル類を抜いてください。
雷は一瞬で電化製品を壊してしまうので、あらかじめ対策をしておくことが、雷による最悪の事態を防ぐことに繋がるのです。
日頃からできる雷サージ対策
自宅を留守にしている間に落雷があった場合、電源を抜くことはできません。
不在時の落雷被害を防ぐためにも日頃の対策が不可欠です。
家庭内の配線を見直す
雷サージ対策機能付きの電源タップにつなぎ替えることで、設計上想定内の電気の流れを食い止めて破損リスクを軽減させることができます。
以下のものを家電量販店などで購入しましょう。
- 雷ガード
- 耐雷サージ
- 雷サージ防止
- 雷ブロック
ただし、これらの電源タップにも受け止められる電圧の上限があり、設計上の想定を超えた負荷がかかった場合は電気機器を守れない可能性もあるので注意が必要です。
データのバックアップ
パソコンやスマホはもちろん、外付けハードディスクドライブ(HDD)など、電力を必要とする記憶機器に保存したデータは落雷や停電で消失するおそれがあります。
万が一、雷サージによる被害を防げなかった事態に備え、データをこまめにバックアップしておきましょう。
ストレージサーバーやモバイルストレージ、DVDやBlu-rayなど、電源とは無縁のメディアに保存しておけば完璧です。
雷対策機能が付いたブレーカー
近年は雷サージ対応のブレーカーも登場しています。
内部の避雷器が雷の電流が流れたときに自動的に家電を保護してくれるのです。
高い電圧を感知するとセンサーが働いて、その電流をシャットアウトします。
また過度の電圧を確認した際に自動的に切れるものもあり、雷の被害だけでなく普段の生活のなかでも過度の電流を使用してしまった際に安全なシステムがはたらきます。
工事が必要ですが、引っ越しやリフォームを予定している方、ブレーカーの交換を考えている方は選択肢の一つとして検討してみましょう。
火災保険の加入や見直し
「それでも心配・・・」という人は、火災保険の加入や見直しをしましょう。
保険商品によって細かい条件は様々ですが、重要な点は以下の2点です。
- 修理の見積書や写真を提出できること
- 家財が補償対象としてカバーされるかどうか
一般的に、建物に備え付けられている電気温水器やエコキュートなどは「建物」が対象の火災保険で補償可能です。
しかし、設備ではないコンセントにつなげて使うパソコンやテレビなどの家電は「家財」が対象の火災保険でないと補償してもらえません。
住宅ローンを組む際に「半強制的に」もしくは「言われるがままに」火災保険に加入した方も多いと思います。
これを機に納得のいく火災保険を厳選してみてください。
まとめ
いかがでしたか?
世界の平均気温が1度上昇すると12%落雷が増加すると言われています。
気候変動により落雷発生数が増加している今、求められるのは二重三重の対策です。
日頃から「雷ガード付き電源タップを使用する」「雷鳴が聞こえたら電源コードを抜く」「データはマメにバックアップ」「火災保険を厳選する」など、万が一に備えておきましょう。