アルコール消毒液の選び方と注意点

アルコール消毒液の選び方と注意点

新型コロナウイルスの影響から、今や日用品となりつつあるアルコール消毒液。

一時は品薄状態が続いた消毒液も、最近は店頭でも様々なアルコール消毒液を購入できるようになってきています。

しかし、様々な種類がある中どれを選べばよいのか、そもそも消毒効果に違いはあるのか疑問に思っている人も多いのではないでしょうか?

今日は、薬局でよく見かけるアルコール消毒液の選び方について紹介します。

【徹底比較】殺菌・除菌・消毒について

目次

アルコール消毒液の正しい使い方

アルコール消毒液の正しい使い方

消毒液を使う際は、肌を乾燥させた状態で使用しましょう。肌が水で塗れているとアルコール濃度が低くなってしまい、十分な殺菌・除菌効果を得ることができません。

また、消毒液は15秒以内に乾かない程度の量が適量とされています。

思っているよりもしっかり量をとり、石鹸で手を洗うときのように指先・手のひら・手の甲までしっかり擦り込みましょう。

アルコール手指消毒剤の正しい使い方の手順は、以下の通りです。

  1. 適量の消毒剤を手のひらに取ります。
  2. 片方の手の指先で、他方の手のひらに馴染ませます。
  3. 両手のひら全体に、消毒剤をよくすり込みます。
  4. 両手の甲全体にも消毒剤をすり込みます。
  5. 両手の指を組み、指の間にもしっかりと消毒剤をすり込みます。
  6. 片方の手でもう片方の親指を包み込み、両手の親指にもしっかりと消毒剤をすり込みます。
  7. 両方の手首にまでしっかりと消毒剤をすり込みます。

 

手指全体にササッと行き渡らせるだけでなく、しっかりとすり込むことが大切です。

すり込む度合いの目安としては、消毒剤が乾くまですり込むようにしましょう。

「もったいないから」といって少量の消毒剤しか使わないのであればあまり効果は期待できません。

手指全体から手首に至るまでまんべんなく行き渡る程度の量を手に取って使用することが大切です。

アルコールとエタノールの違い

アルコールとエタノールの違い

エタノールはアルコールの一種。

アルコールのなかにはさまざまな種類がありますが、手指や物品などの消毒目的にはエタノールが適しているといえます。

エタノールが消毒液に適している理由は、細菌やウイルスの細胞膜を溶かし、無毒化するからです。これによって、ウイルスや細菌を不活化させる効果を発揮します。

ただし、ウイルスに膜を持たないノロウイルスなどには殺菌効果が弱くなるため、すべての細菌・ウイルスを消毒できるというものではありません。

消毒したい対象物ごとに適した薬剤を選ぶことが大切です。

メタノールとは?

たとえエタノールが品切れだったとしても、「燃料用アルコール」として販売されているメタノール(メチルアルコール)は、絶対に消毒には使ってはいけません。

エタノールは体内に入ると最終的に無害な酢酸に変化しますが、メタノールは体内に取り込まれると、ギ酸という有毒な物質に変化します。

ギ酸には体内の組織を壊す働きがあり、特に視神経を傷つけて失明してしまう恐れがあるのです。

メタノールと呼ばれるメチルアルコールの危険性は、「目散る(メチル)アルコール」とも呼ばれることがあり、誤って使用すると非常に危険です。

アルコール消毒液の選び方

アルコール消毒液の選び方

アルコールジェル・消毒液を選ぶ際に必ずチェックしておきたい「5つのポイント」をご紹介します。

ポイント1:消毒効果の高いものを選ぶ

消毒液を選ぶときに一番気になるのは、消毒効果があるかどうかでしょう。

商品によって消毒効果は変わるので、購入時にチェックすべきポイントを紹介します。

実は、「消毒効果」と明記できるのは医薬品・指定医薬部外品のみです。

そして、消毒力の高さはそれぞれ違いがあります。
消毒目的であれば、医薬品・指定医薬部外品を選びましょう。

化粧品や雑貨に分類される商品は「清潔にする」「健やかに保つ」ことを目的としており、消毒用には販売されていません。

「殺菌」「消毒」というワードは、医薬品や指定医薬部外品の消毒液にしか使用できないため、ラベルに消毒・殺菌の表記があるかどうかを判断の目安にしてもよいでしょう。

ただし、「除菌」「抗菌」などの文言は化粧品や雑貨でも使えるので「除菌99%」などの言葉にはあまり惑わされないことが大切です。

しかし指定医薬部外品であっても、アルコール濃度が高いとは限りません。

ウイルス・細菌をすばやく消毒するなら、日本薬局方が定めている消毒に最も効果的なエタノール濃度である76.9〜81.4vol%のアルコール濃度を選びましょう。

パーセンテージには、「w/w%」や「w/v%」などを用いて表記されることもあり、これにより数値も若干変化します。

これは水やエタノールの成分を容量で計るか、あるいは重量で計るかの違いによって変わる表記です。

消毒効果そのものに影響はないので、数字のみをチェックすれば問題ありません。

アルコール濃度は、高すぎるとすぐに揮発してしまい、低すぎるとウイルスの不活化までに時間がかかってしまうため、どちらも消毒効果が低くなる原因となります。

すばやくウイルスや細菌を死滅させるためには、70%程度のアルコールを選ぶことをおすすめします。

危険物第四類アルコール類とは?

危険物第四類・アルコール類の表記は、アルコール濃度が60w/w%以上のものに表記されているもの。
エタノールには引火性があるため消防法が定めているものであり、手肌に害があることを意味する表記ではありません。

しかし、消毒液は火元の近くで使用したり、夏場の車内に置きっぱなしにしたりなどはしないように気をつけましょう。

ポイント2:用途に応じて選ぶ

アルコール消毒液は主に、スプレータイプとジェルタイプの2種類があります。

それぞれの特徴から使用シーンに合わせて選びましょう。

幅広いシーンで使うなら、速乾性・使用感に優れた定番のスプレータイプがおすすめです。

スプレータイプは、サラッとした液体がすばやく手になじみ、使用感がよいのが特徴。

速乾性にも優れているので、手指消毒にはもちろん、物品消毒にも適しています。

スプレータイプは据え置きのボトルが主流ですが、今回の検証ではトリガー式のスプレータイプが、繊細なミストを満遍なく吹きかけられると高評価でした。

ただし、スプレータイプは広範囲に飛び散るので、十分な量をつけられていないことが多いのがデメリットです。

また、サラッとしたテクスチャーゆえに、床にこぼれやすいのも欠点といえます。

ジェルタイプは、使いたい量を調節しやすく、指先まで伸ばしやすいのが特徴。

しっとりとしたテクスチャーには、保湿成分が含まれていることも多く、乾燥対策に優れた商品も豊富です。

ジェルタイプ特有のベタっとしたテクスチャーが苦手という人も多いですが、ジェルタイプのなかでも液体に近い半ジェルタイプなら、サラッとしていて気持ちいいとの高評価もみられました。

一方で、ジェルタイプはテクスチャーが固いことからノズルの目詰まりが起きやすく、液ダレが発生しやすいというデメリットもあります。

定期的にノズルを拭き、清潔に保つように心がけることが大切です。

ポイント3:使い心地から選ぶ

手荒れが気になる人は、保湿成分であるグリセリンが配合されている消毒液を選びましょう。

エタノールは皮膚のうるおいを奪い、乾燥させてしまうため、肌が弱い人や乾燥肌の人はとくにチェックすべきポイントです。

ほかにも、商品によってはアラントインやDL-アラニンなどの保湿成分や、アロエベラ葉エキスやティーツリー葉エキスなどの美容成分が配合されていることも。

尚、保湿力があるものは、手がベタつくと感じやすいものもあるので、留意して選ぶとよいでしょう。

ポイント4:使用するシーン

出先で使用するならコンパクトな携帯サイズが便利です。

自分で詰め替えることも可能ですが、アルコール手指消毒薬のポンプを長期間にわたって使用すると、菌が繁殖する恐れがあるので6か月ごとに洗浄・乾燥させましょう。

また、小分けする際に使用する容器の種類にも注意が必要です。

PETと書かれたよくあるプラスチックの容器に入れて長時間保存すると、容器が溶けだして液漏れの原因になります。

どうしても小分けにしたいときは、正しい容器で清潔に行う必要があります。

アルコール濃度の高いものを入れる容器としておすすめなのは「PE」もしくは「PP」と記載のあるプラスチック容器です。

消毒液などにも使われるプラスチックの種類ですが、容器によっては「アルコール不可」や「水以外不可」の記載のあるものも見られるため、容器を購入する前に注意書きはしっかり読んでおきましょう。

ポイント5:コストパフォーマン

消毒液は継続的に使用するためにコスパもチェックしましょう。

安さの検証では、1回当たり6.6円程度が平均的だったため、この価格を目安に選んでみるとよいですよ。

また、消毒液のアルコール濃度と価格は比例する傾向もあるので、消毒効果を求めると高価になってしまうという面もあります。

コロナウイルスには、食器洗剤や風呂掃除用洗剤などを薄めて消毒するという方法も効果的とされています。

そのため、手指消毒にはアルコール消毒液を、物品消毒には身の回りの洗剤と使い分けるのも一手です。

番外編:次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの違い

次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの違い

近頃、新型コロナウイルスへの効果もあり、人体にも影響が少ない次亜塩素酸水が最近注目されています。

これは、食塩や塩酸を水に溶かして電気分解したもののことを指します。

家具や寝具、衣服などの消毒をしたいときに、この次亜塩素酸水を薄めてスプレーとして使えば良いとされています。

一方、いわゆる塩素系漂白剤に使われている次亜塩素酸ナトリウムも、新型コロナウイルスの消毒に効果があると考えられています。

次亜塩素酸ナトリウムは、薄めてドアノブや机の上など手で触れる場所を拭くときに使うものですが、使用する際に推奨される濃度は0.05%。

次亜塩素酸ナトリウムが含まれている花王のハイターの場合、購入から3か月以内のものであれば水1リットルあたり10ml、1年以内なら1リットルあたり15ml、3年以内なら1リットルあたり25ml(キャップ約1杯分)を混ぜた程度の濃度でウイルスに効果があるとされています。

ただし、拭き掃除に使える素材は限られるので注意が必要です。

金属は錆びたり、布地は傷んだり、車のハンドルなど合成樹脂部分は変色することもあるので、目立たない部分でテストしてから使用しましょう。

次亜塩素酸ナトリウムの場合、濃度の高い原液は皮膚や粘膜への刺激が強く、目に入ると失明したり、のどや鼻に入るとただれたり、飲み込むと嘔吐する可能性があります。

当然、間違っても手洗いに使うことも避けましょう。

また、部屋用の除菌スプレーとして使ったり、加湿器の水に混ぜたりして部屋中に噴霧するのも危険です。

まとめ

いかがでしたか?

アルコール消毒液は用途や好みの使い心地からしっかり選んで使いたいものですね。

しかし、忘れてはいけないのは「手洗い」です。

アルコール消毒液を使う前に、やはりきちんとした手洗いが感染症対策の要となります。

消毒液を選ぶとともに手洗いについても意識して行いましょう。

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